梅雨時メランコリー

 梅雨という季節を好む人はいるだろうか。時として曇天からしとしと降る雨に情感を覚えたりもするが、やはり好きにはなれない。時折見る紫陽花に心を打たれても、通り過ぎてしまえば、後に残るのは靴下が濡れる不快感だけだ。

 そんな梅雨を唯一好むタイミングは休日だろうか。ソファを窓辺にもっていって、大きい窓越しに眺める雨は嫌いではない。音楽はショパンの雨だれなど良いだろう。雨が鳴らす様々な音と雨だれは相性が良い。曇天が遮り鈍くなった日差し、葉から滴る雨音、木々が擦れる音。雨だれはその全てを取り込みつつ、梅雨という憂鬱に一瞬の安らぎを与えてくれる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る