第17話
エドガーとナーラが出発の準備を進める間、ルゥは聴きなれない言葉を紡ぎながら、土に両膝をつけ空を仰いで両掌を合わせていた。
2人は知らない作法であったが、神殿関係者であることから祈りを捧げているのだろうと、地図の確認と物資の確認をしながらナーラは横目で見ていた。
しばらくして祈りが済んだのかルゥは土を払って立ち上がり、ナーラに近づいてきた。
近づいたものの遠巻きに立ってこちらを見ているので、「どうしたの」とナーラは笑顔を作って尋ねた。
「私にもなにかできることはありませんか」
と、ルゥは真剣な眼差しで答えを返した。
ナーラもエドガーも自分たちのことは人を使わずに済まして過ごしてきたので、ルゥに指示することがなんとなく上手くできなかっただけなのだが、自分だけが何もせずにただいるというのもたしかに居心地は悪いだろう。
しばし思案して、ナーラは「歌が聴きたい」と呟いた。
「ちょっとナーラ、ダメだよ」
と、エドガーは機体の下から口を出したが、ナーラもルゥも別段満更でもなかったのだった。
エドガー自身も一応こうは言ったものの、ルゥの見知らぬ祈りの声は歌を歌っていたのだとしても納得するような美しさがあったのだ。
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