第16話

「では、どこに──」


エドガーの質問を遮って、「ちょっとまって」とナーラが唇に人差し指を当て、耳をすますような仕草をした。反射的にエドガーは動きを止め、自らも耳をすます。


相変わらず静けさの中に葉が揺れ、風が樹々を過ぎる音が聴こえるばかりだったが、しばらくしてナーラだけは真剣味が増したようだった。


「なにが聴こえたの」

と、エドガーがナーラに問い掛けると、ナーラは首を振り、気のせいだったのかもしれない、とだけ呟いた。


「分かった。ちょっとだけフライングキャットの様子を見させて。さっきの飛行のダメージを確認するから」


「分かった。わたしも計器類と地図の方を確認しておくよ」


2人が準備に取り掛かり、ルゥはなんとなく取り残されたような形になるが、2人に分からぬように、こっそり息をいたのだった。

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