第11話

エドガーは、フライングキャットに引き入れた落下する人クラゲを手放さないように、必死に押さえつけていた。


森の中に落ちてからも、墜落は免れていて、フライングキャットは木々の隙間を縫って飛行していたのだった。


フライングキャットが時折枝を折る壮絶な音と、風を切る音、そして今まで聴いたことのない、低く唸るように鳴く声がする。


ナーラにとっては1日の終わりを100回繰り返した程に感じる気力の消耗とともにフライングキャットは森の隙間に不時着した。


フライングキャットが土の上に降りてからしばらくの間、2人は黙ったまま機体の中でグッタリと力尽きていた。


チチチ、と鳥の声が聴こえた。カサカサと、虫の蠢く音が聴こえた。風で樹々の葉が揺れ枝がしなる音が聴こえた。他に人の気配はなく、2人にとっては森が彼らを隠すことを決めたようにも感じる静寂が辺りを包んでいた。

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