第10話

「ナーラ!」

「分かってる!なんとか保たせるから!」


落下する人クラゲはその身に纏う服がかなり風をはらんでいるらしく、かなりの速さで風に流されているようだった。


フライングキャットは、ナーラの操縦によって負担を抑えられつつも、過重に出ている速度と錐揉み気味の降下によって、唸るように鳴き始めていた。


「ナーラ!フライングキャットがっ!」

「もう……少しで……、風防!」


ナーラの合図と同時にエドガーが風防を開き、隙間から落下する人クラゲを引き入れた。

瞬間、機体がグワンと傾ぎ、エドガーはまたしても奥歯を噛み締めることになった。

内部伝道管トンネルの奥から、ナーラの舌打ちが聴こえる。


「ごめん、エドガー」


何を、とも分かってる、とも言う間もなく、フライングキャットは森の中に落ちていった。

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