第9話

「撃ち合ってるって……、武装した民間小型輸送船カモメなんて聞いたことないよ。一体何が起きているの」


空域が近づき、エドガーの目にもようやく粒の塊が、船の玩具ほどの大きさに見えるようになる。


「わたしにも分からないよ!でも、あの民間小型輸送船カモメ、武装はしてるけど一方的にやられてるようにみえる。たぶん時間の問題……、あっ!」


「今度はなに──、うわ!」


フライングキャットがさらに加速した。いや、ナーラが急降下をしたために加速したように身体が錯覚したのだった。


お腹が浮くような心地がして、エドガーは声を上げてしまわないように奥歯を強く噛んだ。


「ナーラ!」

「ごめん、エドガー!でも、船から誰か落ちた!」


エドガーは、風防に必死で顔を押し付けてフライングキャットの突進する方向に目を凝らした。


キラキラと陽の光を反射したクラゲのようにもみえるものが、クルクルと落下していく光景がその目に映った。

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