第8話

「向かうよ!」

「分かった」


ナーラはフライングキャットを方向転換させ、機体の速度を上げた。機体を通り過ぎる風が、加速度的に長く甲高い鳴き声に変わっていく。


「あれ、民間小型輸送船カモメかも…」


エドガーの目には空に浮かぶ豆粒の塊に見えたけれど、目の良いナーラが言うならばそこには信憑性があった。


「じゃあ、さっきの光はやっぱり小型艇が爆発した光かな…」


「うーん……、でもちょっと様子がおかしいような──あっ」


ゴンッ、という鈍い音が内部伝道管トンネルを通して、聴こえた。ナーラが風防に頭をぶつけたらしい。


「ぶつけたとこ、大丈夫?」

「大丈夫じゃない!エドガー、あれ、やばいよ!」

「何が見えたの!?」

「あいつら撃ち合ってる!!」


ナーラの声に内部伝道管トンネルの蓋が震えた。

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