第7話

フライングキャットは昼下がりの空を飛ぶ。

まだ陽は高く、2人の頬を撫でる風には太陽の暖かみを含んでいる。


最初に気づいたのはナーラだった。


「エドガー」


内部伝道管トンネルの向こうから聴こえたナーラの声に、何かに迷った調子が混じっていることにエドガーは気づいた。


「どうしたの」

「2時の方向を見ていて……、ほら、あれ!」


ナーラが風防の内側に指を当て、エドガーにフライングキャットの正面右側を見ろと伝えていた。


エドガーが計器から顔を上げ、ナーラの指差す方向を見つめたその時、空の向こうで赤とオレンジの混沌とした光が広がるような閃光が見えた。


「……見えた?」

「……見えた」


閃光は、フライングキャットの機体を空中分解させた時に見せる光に、よく似ていた。

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