第6話

一通り動き回って気が済んだのか、ナーラはフライングキャットを一直線に飛ばし始める。


「気が済んだ?」


エドガーがやれやれ、といった調子でナーラに問うと、「まぁね」という返事とともにフライングキャットの翼が2、3度上下に揺れた。


機体が降りたところは、エドガーとナーラのような"なんでも屋"に仕事を仲介している建物で、建物に入ってすぐのところにある窓口で手続きが行われている。


受付で対応している人間は男、女、老若、関係なく一様に事務的な表情で、テキパキという感じでもなく仕事をしている者ばかりだ。


仕事の受領を済ませて空を飛びながら、ナーラが内部伝道管トンネルを使ってエドガーに呼びかけてくる。


「仕事をくれる彼らには言いにくいけどさー、あの人たち、もうちょっと愛想よくしてくれてもいいよね!」


「あはは、ナーラはいっつもそう言うけれど、誰にでも公平に接する態度っていいと思うけどな」


「じゃ、公平に笑顔を振りまけばいいのよ!でしょ?」


「えー、それは顔の筋肉が引き攣りそうだし」


「もう!」


フライングキャットが急加速してネコが楽しそうに鳴くような音が響く。

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