第3話

「はむ……ムググ…ん、エドガー今日の仕事の予定……はぐ……忘れてわふゅれへないよね?」


「ん……、忘れてないよ。えっと、たしか隣町のギルドに荷物を届けるやつでしょ?」


「そう!いつもの当番制のやつ。あそこの仕事って雑用ばっかでつまんないんだよねー!……はぐ!」


「まぁまぁ、そうやってできる事をやっていけば、いつかいい仕事もくるよ」


「えーっ!!もう、エドガーは呑気だなぁ。あたし達だってもっと、ばーん!ってお金稼げるデカイ仕事、やれると思うんだけどなー」


「また、ナーラは無茶なことばっかり言って。そんなにたくさんお金稼がなくたって、2人でなんとか暮らせてこれたじゃない。わざわざ危ない事しなくても━━」


「あ、危ないって言えばさ、なんか八百屋のおっちゃんが言ってたんだけど、最近野菜とかの仕入れが大変なんだって。天気が悪いんでもないし、参っちまうよなーって言ってた」


 ナーラのお皿に載っていた特大サンドイッチは、ペロリと平らげられていた。ナーラは口の周りを猫のように舌舐めずりして満足そうに目を細めている。


「ん、なんだか最近ちょっとずつオイルの値段も上がってるんだよね。街の物価、上がってるのかな」


「参っちまうよなー。荷物運びはあんまり儲からないし」


 エドガーのお皿に残った一口サイズのサンドイッチをナーラの目が狙っていることに気づいて、エドガーはちょっとだけ皿を手前に引き寄せた。


 ナーラはなぜかムッとした顔をした。

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