第2話

「もうとっくにお昼を過ぎてるんだよ!?はやく食べないと、お腹と背中がくっついて離れなくなっちゃうんだから!」


「分かったってば、ナーラ!もう行くから!」


 整備室を出て、通路を駆けていくナーラの背中をエドガーは追いかけていく。


 食堂に着く頃には、エドガーは自分もとても空腹だったことに気づいた。


 鳥と緑の葉をバターと特製ソースで和えた具材を、木の実を混ぜ込んだパンで丸く挟んだナーラの得意料理の匂いが、エドガーの鼻腔をくすぐった。


「さ、手と顔を洗ったら、さっそく食べましょ!」


 ナーラはそう言うと、満面の笑みで食卓に飛び込んだ。

 フォークとナイフを既に両手に持っている。


 エドガーも顔と手を洗い、すぐに食卓に着いた。


「今日はエドガーの番。祈って!」


 性急なナーラの様子に苦笑いをして、エドガーは祈りの言葉を口にした。


「我らの神ラライエよ。今日も豊かな糧、澄んだ水、美しい風を賜り下さり感謝いたします」


「ルーラー!」


 2人はほとんど同時にパンに噛り付いた。

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