2.殺人主義者の友達

ep2.殺人主義者の友達-00


 友達になってくださいと言われ、はいいいですよとは残念ながら答えられない。


 ここで相手が男ならすぐさま切り捨てるのだが、今はそれがはばかられる。

 俺だって一応デリカシーは持ち合わせているんだ。

 隣の席の女子からそう言われて即答はしない。

 まぁ承諾する気もないが……、とにかくやんわりとお断りするのがベストだろう。



 俺の求める平穏な日常には〝美少女の友達〟なんていう特典は必要ない。

 友情から発展するトキメキや恋心とかいうものに興味はないし、それにより何事もない平和な日常をねじ曲げられるわけにはいかない。

 たまたま席が隣で、たまたま部活が同じで、たまたまお互い独り者だからといって仲間意識を芽生えさせてはいけないのだ。


 だが俺としたことが、……判断を誤ったのか?

 もっとマシな奴に頼むべきだろ、とアドバイスがてら遠回しに言ったのだが……断り方が甘かった。もっときっぱり言うべきだった。

 そうしないとわからない奴だなんて思わなかったんだ。



 俺の日常には友情も、色恋も、事件も、殺人鬼なんてものも、必要ないのに……。


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