第8話「怪しい騎士の行動」
「【#治癒__ヒール__#】」
俺は暖かい光に包まれ徐々に意識を取り戻していき、重い瞼を少しずつ開けていく。
「良かった!
気がついた」
目を全開に開くと、俺の事を覗き込むようにし、頭を撫でる先程の美少女がそこにはいた。
俺は急いで飛び起き周りを見渡し状況を判断する。
どうやら俺は高級感溢れる内装の馬車の中にいるようで、馬車は現在進行中の様だ。
恐らく先程の戦いで意識を失い、この馬車に運び込まれたのだろう。
それにしても何故こっち側の馬車に?
「クスっ。」
俺の困惑する表情が面白く感じたのか美少女は少し笑った。
俺は少女に目を向ける。
歳は俺と同じ歳ぐらいだろうか?
髪は黄金を思わすような綺麗な髪色で、肩に付かないぐらいのボブ風に切り揃えている。
それに目鼻顔立ちの整い様はまさに絶世の美少女といえるだろう。
精神年齢30をゆうに超える俺でも目がいく程だ。
だがこの世界ではまだ9歳。
目がいったってしかたないじゃないか!
と、何故か自分の心の中で仕方ないとフォローする。
「今の状況がわからない。
そんな表情だね。
君はさっきの戦闘で凄い大怪我をして意識を失っていたんだよ。」
そうだ!アレだけ殴りつけられて顔なんかとんでもない事になってるに‥
「ッ!!?
あれ?」
手の感触で分かる。
腫れやキズといった外傷が感じられない。
その表情にまた美少女はクスッと微笑む
「私【#治癒魔法師__ヒーラー__#】なんだ。」
【#治癒魔法師__ヒーラー__#】
名前の通り、人を治癒する力をもつもの。
この世界では比較的珍しい職であり、もともとの才能がなければなる事が出来ぬ職である。
「#治癒魔法師__ヒーラー__#。
じゃぁ治してくれたの?」
美少女はコクっと頷き、俺は素直にお礼を述べた。
「ありがとう」
「気にしないで。
お礼を言うのはこっちのほうなんだよ。
あっ自己紹介がまだだったね。
私の名前はユフィ。
さっきは助けてくれて‥ありがとう。」
そういってユフィはニッコリとした笑顔で手を差し伸べた。
笑顔が綺麗過ぎるユフィに思わず照れながらも
「ど、どうも、スタンです」
と握手を酌み交わした。
道中、ユフィと色々話す事となり、普段学園の授業ではどんな事をしているのかとか、休み時間はこんな風に遊んでいるの?とか、たわいもない話をしてユフィの事が少し分かってきた。
見た目お淑やかに見えて、少しお転婆な所もありすごく明るい少女だという事と年齢は俺よりも一つ上で、兄2人が通うシルバァブレ学園の生徒だという事だ。
シルバァブレ学園の制度は寮生で基本春休み、夏休み、冬休みを利用して生徒は自分の故郷へと帰る。
そして今が丁度、冬休みに入った所で兄2人も最近帰ってきていてユフィも俺らの目指す王都へ帰郷している最中だったそうだ。
だから俺の元いた馬車はこの馬車の先頭を走り騎士達に守られながら進んでいた。
だがそこで俺は疑問に思った。
ユフィは見るからに何処かのお偉い上位貴族のご令嬢だろう。
なのに騎士5人だけでは心許ない。
貴族たるもの子供は上位に上がれば上がる程、身の危険が付きまとう。
だからペルシア程でなくてもズバ抜けて強い護衛が必ずしもついているはず。
それにあのグレイインプは明らかにユフィの事だけを狙っていた様だった。
普通魔物はそんな計画的な事をする事はない。
だから俺はさっきのグレイインプの襲撃には統率者がいるのではないだろうかと睨んでいた。
かといってイキナリ誰かに狙われてるのか?と聞くのも可笑しな話だと思い、まず護衛の件について聞いてみることにした。
「なぁ、ユフィ。
ユフィは、‥その。
見るからに何処かの偉い人のご息女だと思うのに、これだけの護衛ってのおかしくはないかい?」
「あぁ、それなら次の町で合流の予定なんだ。」
普通は学園から護衛するはずだ。
さらに疑問に思い再度追求する。
「何故次の町で合流になったの?」
ユフィは俺が何故そんな事を聞くのかと首を一度傾げるが答えてくれた。
「ここに来る途中の峠道が土砂で通れなくなっていて、それだと「今後他の人々が困るので私のもつ土魔法で治してから後を追いますので次の町で合流しましょう」ってことになったのよ」
ユフィは親切にモノマネ的なものを織り交ぜて教えてくれたが、そのモノマネが何故か和むというか可笑しいというかで思わず俺は吹き出してしまう
「クスッ」
「あっ!今笑ったな?
何が可笑しいのよ!」
口を膨らませユフィは俺に顔を近づけた。
「いやいや、バカにしてる訳じゃないんだよ。
さっきのはモノマネかい?」
ユフィはすこし仰け反りドヤ顔をみせる。
「メチャックチャ似てるんだから!」
似てるとしても俺はその人物をしらないんだけどな。
苦笑いをしつつ、また俺は思考を巡らせる。
土砂崩れで残るとしても、他のルートがあるにも関わらずワザワザ主体となる実力者が残る必要性がわからない。
それなら他の騎士達にさせれば済む事だし、それに何人かは分からないが10人近くいる騎士の中の1人を引き帰らせ、シルバァブレ学園から土砂の撤去隊を派遣するほうが効率がいいだろう。
この話ヤケに辻褄があわないような気がするな。
一応次の町についたら父上に一度注意を促しておこう。
そんな事を考えて表情が硬くなっていたのか心配そうにユフィが俺の顔を覗き込んだ。
「大丈夫?
あ!もしかしてまだ何処か痛む?」
俺の体の彼方此方を確認しようとするユフィを俺は慌てて制御する。
「だ、大丈夫!大丈夫。
おかげで何処も痛む場所なんてないから。
心配してくれてありがとう。」
俺はニッコリとユフィに笑いかけるとユフィは頬をほんのりと赤く染め安心したのか胸を撫で下ろした。
「良かったぁ。」
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こんにちは桂木です。
いつも読んで頂けている方々、とても嬉しく思っています。
これは全然私事ですが最近黄砂の影響か鼻が痒くて昨日風呂場で鼻を掻いたら鼻血が出ました。
っつか風呂場で鼻血がでたらあんなに止まらない事に1人で恐怖を感じ軽いパニックに陥りました。
皆さんならどうします?笑
本当に私事ですみませんでした。
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