ダージリン
一晩かけて降り積もった雪が、
行き交う人々によって黒く、淀んでいくのを黙って見つめていた。
二度と吹き返すことのない白に
それをまるで「僕みたいだ」と貴方は笑った。
暖かいはずのレモンティーも、どうしようもなく冷たく感じて。
立ち上がる湯気に嫌悪を抱く。
「飲まないの?」
私にそう問う笑顔でさえも。
『僕みたいだなんて。
大丈夫よ。貴方も私も、元々白ではないわ。』
嬉しそうに、それでいて世界で一番悲しそうに微笑む貴方のダージリンが揺れる。
「それも、そうだね。」
私がこんなに苦しいのも、貴方がこんなに悲しそうなのも。
被害者面して生きていこうよ
全部、世界のせいにして。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます