どうしても
「私、もうすぐ死ぬのよ」
病室の大きな窓から入り込む心地の良い風が君の頬を撫でる。
春を浴びるように窓から身を乗り出す君に、危ないよ。と声をかけるこの関係は僕と君だけのものだった。
僕に促され再びベットの中に潜り込んだのを見届けて、枕の傍へ口付けした。
彼女の目に映る僕を見ていられなかった
『どうしても、死ぬのかい』
情けのない声。
「死ぬんですもの。仕方が無いわ」
にこりと笑う
『今度はいつ、会えるかな』
迷いのない声で彼女は
「百年、待っていてよ。必ず会いに来るわ」
その言葉にゆっくりと頷いた。
初めての約束。
僕はようやく彼女のものになった。
部屋に残された、君のいた証。
純白のシーツが僕を笑う。
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