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 眩しさの中では目を開けていられない。光の速さで僕らは翔んでいる。翔ぶように、墜ちている。地上へ向かい、魂の器はとうに失った。剥き出しになった僕らの表面を覆うように、星が瞬きを繰り返す。ちかちか。きらきら。

 僕が「僕」でいられる時間が残り少ないことを感じる。感覚が融けていく。心と一緒に記憶が零れて落ちていく。もしかしら、流れ星の尾が煌めくのは、誰かの記憶の欠片が輝いているからなのかもしれない。そんな思考もきっと、もう、ただの、くだらない、ほしくずに、かわる。


『じゃアな、相棒』


 だれかのこえが、きこえた、きが、した。

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