囚われ人。
*****
もうあれから何年が経ったのかなんて数えることに意味が見い出せなくなってから、私の心はすっかり錆び付いてしまった。
彼はちゃんと生まれ変われただろうか。もうすっかり私の記憶もなくして、『今』を生きているだろうか。それを想像するのはとてつもなく寂しいけれど、きっとそれでいいのだと思う。
私は一時の感情で世界を危険に晒した罪人なのだから。彼のことを想う資格だって、もう、ない。
昼も夜も分からない。あれほど身近に在った星は私を照らすこともない。
「お前には失望したよ」
「なんと愚かな娘なの」
愛してくれていたとあんなに思い込もうとしていた父母は早々に私を見捨てた。やはりあの人達にとっての私は、駒でしかなかったのだ。自分のステイタスをあげる為の駒。道具でしかない娘にそれ以上の価値もそれ以下の期待もない。
分かっていたことだ。
分かっていたことだけど。
ここは、寒い。きっと遥か彼方の惑星に流されたように孤独だ。私は死ぬまで、ここに囚われているしかない。それが私に許されたただ一つのこと。
星砕きの魔女。
それが私に与えられた名前だ。もう御門あかりと呼んでくれる人は、この世界にいない。誰も私を覚えてなんかいないんだ。
みそら。せめて、あなただけでも、私を覚えていて欲しい。それすらきっと我が儘でしかないけれど。
神様。お星様。もしもまだ、私の言葉が届くなら。
みそらを私に、ください。
彼に、会いたいのです。
この閉ざされた牢獄に一筋の希望をくださいませんか。ここから届く15cmの範囲だけでもいい。彼に触れられたなら、それはどんなに幸福だろう。
祈りはいつか叶う。誰かは聞いていてくださる。私は未だにそう信じている。
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