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 星に見守られ、星を守る。一つの命が生まれると一つの星が消え、一つの星の誕生は何処かの誰かの死を意味する世界。そんな世界に僕等は生まれ、いつか夜空に輝けることを夢見ながら終わっていく。『ほしびと』は誰もが憧れる役職で、誕生時の星の消滅の大きさによって託される。世界の理を司る、大切な役目だ。

 星は世界の共有財産。誰かだけの物じゃない。星には力がある。誰かの想いを叶える力が。

 世界は恐れた。均衡を崩すほどのパワーを一個人が手に入れることを。星に願うことは禁忌とされ、破った者は星との繋がりを失い、つまりそれは『未来永劫の孤独』を意味した。星に命運を握られた僕等人類は、空から零れ墜ちる流星と共に生まれ変わるらしい。その転生の権利を剥奪されるのだ。永遠を真暗まくらな空で漂うなんて。誰もが怯え、法は守られた。

 だってそうじゃないか。誰もリスクのあることは進んでやらない。平和に生きる為なら望みが叶わなくても構わない。星の力など借りなくとも自力で叶う夢だってなくはない。夢や願いが叶わなくても死ぬことはない。

 そうやって、皆みんな、自分を騙して生きている。それが普通。それが当たり前。


 なのに、さ。なんで君は易々と破ってしまったんだろうね。

 僕が死んだから?

 もう一度会いたかったから?

 ……馬鹿馬鹿しい。いつかは生まれ変われるだろう。どうにでもなっただろうに。


 でも君は言うんだ、僕じゃなきゃ駄目なんだって。生まれ変わった僕じゃない、そのままの「僕」がいいんだって。

 そうまでして、リスクを背負ってまで、会いに来た君を無碍にする、なんて、出来る訳がないじゃないか。馬鹿だな。

 いいさ、分かったよ。その片棒、僕が持ってやろう。


 流星に乗って墜ちていく中で僕は祈った。お願いします、お星さま。僕の願いを聴き届けて。彼女だけを孤独にするのは嫌だ、救ってくれた彼女に会いたい、彼女じゃなきゃ、駄目なんだ。

 すると燃え尽きそうな星が言ったのさ。仕様のねェ人間さまだなって。いいぜ、お前の来世、俺に預けてみろって。

 偉そうだと思いながら僕は答えた。分かった、好きにしろ、ただし約束を守ってくれ、って。


 そうやって流星に乗って僕は、熱に包まれ融ける感覚を体験し、自分の輪郭も彼女の微笑みも星の言葉も、何もかもがどろどろになっていくのを感じた。そして、気が付くとそこは。

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