星にねがいを。
空唄 結。
はじまり。
終わりを告げるその前に。
「ね、見て見て」
君が星に乗って現れた。三角帽子の折れ曲がった先に輝く小さな星や、服の装飾にも見える屑星の煌めき、そして何よりもその手に握られたステッキに込められた眩しい光は、星の力を借りているに違いないことが見て取れた。僕は絶句した。
僕等の世界の掟。星に見初められてはならない、星に願ってはならない、星に自らを明け渡してはならない。
なのに何故。何故、君が。
「だって君が死んじゃうからさ」
そっか。そうだったか。
「掟なんてどうでもいいよ、君にまた逢えたもん」
軽々しく言うなよ、大切なことだろう。
「君に逢えない方が死活問題だから」
君の眩しい笑顔が僕を焼く。焼き尽くす。
「先に待ってて。迎えに行くよ。星に乗って」
分かった。待ってるから。星と共に。
そうやって僕等の終わりははじまりを告げる。擦れ違う指先。あっという間に遠くなる僕等の距離。世界に立ち向かう君を守れるのは、きっと僕だけだ。
君に触れられなかった十五センチの後悔を埋める戦いが今、幕を開けた。
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