ようやく始まった物語
と、言うわけで始まりました。
リツカVS謎のボクっ娘メイド
決闘が行われる会場は我らが教室、解説は私、謎の美少女ラノベ作家と『今日のパンツは赤色』こと赤城タクヤさんです。
「取り敢えず色々言いたいことがあるがその紹介はなんとかならないのか?」
「はい、ナイスなコメントを頂いた所で今回の決闘の内容へと移らせ頂きます」
(……めんどくさいから付き合っておこう)
*******
数十分後、勝敗はつかずに引き分けとなった、俺としては勝敗などどうでも良いのだが、当の本人達は決着のつかない事に不安げな表情をしており未だ両者の角質は取れずにいた。
とにかく、だ。
「いい加減部活動とやらを始めないか?」
夕日差し込む放課後の教室で俺は呆れ顔を浮かべながら教室に居る四名の部員に目配せしながらそう言った。
ちなみに先程までいなかった愛上くんは決闘が終わると同時に姿を表した。
「……と、取り敢えず初めまして」
ボソリと愛上くんがボクっ娘メイドにそう言う。
それに対してボクっ娘メイドはブスッとしながら『どうも、』と礼をする。
「とにかく、まず第一に始めることがある」
そう、映えある最初の部活動として俺が選んだこと、それは、
「自己紹介、だ」
「なぜタクヤが仕切っているのかしら」
「お前に任せていたら話が進まないからだ!」
とにかく自己紹介をする事になった、
「一年三組の赤城タクヤだ、よろしく頼む」
シンプルisベストな挨拶をかました俺を何故かラノベ作家様が文句ありげに見つめてきた。
「もう少し面白いこと言えないのタクヤ?」
余計なお世話である。
「ならばお前はどうなんだ?」
俺がそう言うとラノベ作家様は不敵な笑みを浮かべて自己紹介を始めた。何故か自慢げに。
「同じく
「お嬢様、嘘はいけません」
「だ、黙ってなさい!」
何だろう、女性の闇を垣間見た気がする。
「……タクヤ様、私は正真正銘Cカップです」
聞いてもいないのにそんな事言って来るのはリツカだけな気がする。
リツカのとんでも情報に頭を悩ませている俺など気にもせずリツカは自己紹介を始める。
「……一年一組相崎リツカです、タクヤ様の奴隷です」
リツカの自己紹介は短いながらも、それでいてインパクトがあった。
「おい、色々と誤解される恐れがあるから訂正してくれ」
「タクヤ様のペットです」
「それだとさっきと大差ないだろう!」
「タクヤ様の飼い主です?」
「いや、立場を逆転させろと言うことでは無くだな……」
冗談抜きでこのままだと俺の立場が危うい、
「メイドだメイド、相崎リツカは俺のメイドだ、誤解しないでくれ」
「タクヤ様、愛上君には隠すのでは?」
「……」
そう言うことか、と考えた頃には後の祭りだった。
「わざわざ隠す必要あるの?」
しかし愛上君はそう言った。
「赤城君が露骨に隠してたから今まで知らんぷりしてたけどね、」
エヘヘ、と愛上君は頭を掻きながらハニカム。
どうやら俺は自分で思ってもいない程に隠し事が下手ならしい。
「なんというか、……すまん」
「いいよ気にして無いし、それに形はどうあれ本人から真実を聞けたからね」
愛上君は人懐っこい笑み浮かべながらそう言った。
ああ、どうやら俺は酷い勘違いをしていたらしい、
「愛上君、改めて俺と友達になってくれないか?」
俺は人生で初めて自分から他人へと友達申請を送った。
そして彼の答えは、
「うん、丁重にお断りします」
「……はい?」
思ってもない返事に俺は硬直し、そしてその後に恥ずかしさがこみ上げて来る。しかしそんな俺に愛上君は追い討ちをかける、
「全く酷いよね赤城君、なんだか自己完結で終わってるよ、でもさ、今度からは全部僕に話してよ、だって僕達、」
一拍おいて愛上君と教室に差し込む夕日が重なる、そして放たれた言葉はどこかで読んだことのあるセリフだった。
「だって僕達、もう友達じゃんか」
それは先程自らを渡瀬片瀬と名乗った女のたった一つの著作の最後の一文、心をあまり開かない主人公にクラスメイトである一人の男子が放った言葉、
何処かで本を閉じる音が聞こえた、それと同時に新しいページを開く音も。
本が出ていないためわからない愛上君の台詞の返事を俺は自然に返していた。
「ありがとう、そしてよろしく」
字数にしておよそ十三文字のその言葉の先から新しい物語が生まれようとしていた。
******
「なんか僕、忘れられてないですかねぇ」
「まあまあ、貴方は新キャラだからね」
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