第2話

 タケミナカタは思いついた。

 剣がないのはこころもとない、大蛇を退治て剣を得ん。

 タケミナカタは剣を得るため旅だった。

 剣よ、剣よ、むらくも、くさなぎ、やえがき。

 われにぴつたりの剣はいずこ。

 木の枝に止まっていた小鳥たちがかわるがわる歌い答えた。

「クサナギはおわりの国に」

「ムラクモはいつもの国に」

「ヤエガキはするかの国に」

 タケミナカタは返歌した。

「くしなだのいつものひいのみとやなる、やいつのはらにあったがおわりか」

「ぴー」

「ついー、ついー」

 小鳥たちは答えずに飛び去った。

 質問が難しすぎたに違いない。

「ああ、わが問いに答え能う者いずこなり」

 タケミナカタは嘆息した。

 すると何やら寄ってくるものがあった。

「旅のものよ、いかがした」

 寄ってきたものはぐにゃぐにゃな姿かたちをしたものだった。

「わが問いに答え能う者がみつからぬ」

 タケミナカタは状況を説明した。

「問うてみるがよい」

 ぐにゃぐにゃなものはそう言った。

「ぐにゃぐにゃなるものよ。わたしの助けになろうというのか」

「いかにも。そなたを助けられるかどうかはわからぬが、話はきこう」

 ぐにゃぐにゃなるものはぐにゃぐにゃと言い放った。

「はるかなしみのしなのなるたちきたりきじのこえにぞみつくとおもえば」

「おうみにすわるいもにあかしや」

 タケミナカタが問い、ぐにゃぐにゃなるものが答えた。

「そうか、わかった。ぐにゃぐにゃなるもの、そなたも来ぬか」

「わたしは海の者、山には行けぬ。だがそなたがまたここに戻るなら、そのときは力になろう」

 タケミナカタは礼をいい、山に向ってすすんだ。

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