ユーレイとジェラシー

「ユーマ殿!おっはようでござるー!」

「お、おう。おはようルシールさん」


 先日の一件以来、ルシールは頻繁に佑真の元を訪れるようになった。

 今日も教室へ向かう途中で出会ったところをルシールから挨拶してきた。

 ルシールはとても嬉しそうな顔で佑真の腕に絡みついてくる。


「え、ええっと……ルシールさん……?」

「気にしないでほしいでござる!ちょっとしたスキンシップでござる!ユーマは照れてかわいいでござるよー」


 そう言ってルシールはアピールするようにいたずらっぽく微笑む。

 佑真にとってはどちらかというと困惑の色のほうが強かったのだが紛れもなく美少女であるルシールに抱きつかれるのは、確かに照れる。

 と、そこへ恵梨香が駆け寄ってくる。


「あ、おはよう萩原くん!ルシールちゃん!」

「ああ、おはよう三堂さん」

「……おはようでござる」


 ルシールは恵梨香のことを険しい目線で見つめる。

 恵梨香は苦笑を浮かべて、やや佑真達から離れて歩くことにする。

 その様子を見て、レイコが顎に手を当てながらその様子を眺めていた。


「……ふーむ」


----


「佑真さん佑真さん、どうもルシールさんの恵梨香さんに対する態度、ちょっと妙な気がしません?」

「んん……なんだろうな。なんとなく……敵視っていうわけじゃないけど、なにかありそうな気はするよな」


 佑真の部屋でレイコはくるりと半回転し、頭を逆さにして考えるそぶりを見せている。

 相変わらずその白い髪の毛は乱れもせずにただふわりと動くだけであった。

 癖なのか何なのか、レイコは度々このようなポーズを取る。

 人間であれば頭に血が上ってしまうところだろうが、幽霊には特にそういったものはないらしい。


「恵梨香さんだけですよねー、藍さんとは普通に話してましたし……そうそう、あきらさんとは今回の一件で結構仲良くなったみたいですよ?」

「へえ」

「元々ルシールさんも結構スポーツが得意な方らしくって、助っ人として一緒に入ることも多かったんだとか……だからこの間も真っ先に運動部の方々に助けを求めに行くつもりだったみたいですよ」


 あきら経由の情報を得ることによって、レイコは前よりも学校の事情に詳しくなっていた。

 レイコは意外なことに授業中は大人しく後ろの方で授業を聞いていることが多く、休み時間などは基本佑真と一緒にいる為、今まではそこまで学校のことに詳しくなかったのだ。

 全くの余談だが、あきらがレイコの事を姉御と呼んでいると知ったときの佑真の反応は、うっかり驚かせてしまって飛び上がった時のまたたび飼い猫のようであったと恵梨香は語っている。


「じゃあ、やっぱり恵梨香に対してだけああいう反応なんだな……」

「佑真さん、放っておくわけにはいきませんよね?藍さんとあきらさんの時みたいに仲良くしてもらいましょうよ!」

「とは言ってもなあ……」


 佑真は布団に倒れこみながら難しい顔をする。

 前の時はあきらが藍の事を誤解し、また藍も寂しがっているだろうことを感じとれたから思い切って行動することができたものの、今回はまだルシールが恵梨香にどういう感情を抱いているのかまだ今一つわかっていない。

 恵梨香のほうも、ルシールと仲良くしたいという気持ちはあるだろうが、元来の控えめな性格のせいで踏み込めずにいるようであった。


「……俺たちが踏み入ってもいいもんなのかね」

「どういうことです?」

「いや、無理矢理仲良くさせようっていうのも、どうなんだろうなって……思ったりもするんだよな……」


 それを聞いたレイコは、寂しそうな顔をする。

 時々レイコが見せるその顔を、佑真はなんとなく苦手に思っていた。


「……仲良く、してもらいたいじゃないですか。どうしても苦手っていうんだったらそれは、仕方のないことなのかもしれないですけど……でも、もし何かちょっとした行き違いとか誤解とか……そういうのでちょっとだけ溝が出来ているっていうだけだったら……私、そういうの……すごく悲しいことだって思うんです……」


 レイコはその表情のまま、静かに、だがしっかりと自分の考えを告げた。

 いつになく真剣で、真面目で、普段のレイコからは少し想像もつかないような姿だった。

 だが佑真はレイコにはこういった一面があることをなんとなく知っていたような、そんな気持ちにもなる。

 彼女と暮らし始めてからそれなりの日数が経ち、少しだけ彼女への理解も深まっているのかもしれない。


「……ねえ佑真さん。ほんの少しだけでいいんです。私たちに何かできることがあるかもしれないじゃないですか。それを、探してみませんか?」

「……」


 しかし、それと同時に佑真は、実はレイコの事を何も知らないのではないか、という気持ちにもなった。

 レイコはあまり自分のことを話したがらないし、こちらから聞くのも憚られる。

 普段どれだけ陽気だろうと、彼女は幽霊である。

 幽霊である以上は、彼女はかつてなんらかの理由で死んだのだ。

 そのことについて触れたことは、今まで一度もない。

 佑真は上体を起こして、改めてレイコの顔を見る。

 少し寂しそうで、悲しそうで、しかしそれでも優しい気持ちを携えた、そんな表情だった。


(やっぱり、苦手だな、この表情……)


「……わかったよ、とりあえずやれるだけやってみるか!」

「佑真さん……!」


 レイコの顔がぱあっと明るくなる。

 結局のところ、佑真にとっても恵梨香とルシールに仲良くしてもらいたいという気持ちはあった。


「それにぃ!ルシールさんは佑真さんになかなかの好印象を持っているみたいですしぃ……上手いこといけばハーレム計画も一気に進みますぜ佑真さん!」

「だからそれはいいってば……」


 すっかり元の調子に戻ったレイコに苦笑を浮かべながら、それでもやはりこっちのほうがレイコらしいと少しだけ安堵する佑真であった。

 レイコの横で、先程佑真に作られた黒猫の折り紙が少しだけ誇らしそうに鎮座していた。


----


 翌日の教室。

 佑真は席に着くなり栄一に絡まれた。


「おい佑真、見たぞおい。また新しい女の子はべらせやがったな?」

「そ、そういうんじゃないって……」

「まあまあ、俺もここまでくると怒りよりも尊敬のほうが大きいって。一体どうすればそんなに女の子に囲まれるんだ?なあ?」


 栄一に肩を組まれて、佑真はただ苦笑を浮かべる。

 笑顔が怖い。藍とは別の意味で笑顔が怖い。


「しかも今度はルシールちゃんじゃねえか。やっぱ目立つよな、あの金髪……まさしく美少女って感じだし」

「有名なのか?」

「んー、まあ扱いはちょっと変わった子、みたいな感じだけどな。あの口調だし……」


 確かに。と佑真は思った。

 そこでふと、佑真は昨日のレイコとの会話のことを思い出し、栄一に少し尋ねてみることにした。


「なあ、ルシールさんって結構人とか苦手なタイプなのか?」

「んー?いや、そういう話は聞かないな。むしろ無邪気で誰とでもあんな感じ、みたいに聞くけどよ」


 栄一は首をかしげる。

 佑真はふーむと考えるようなそぶりをみせた。


「なに?なんかトラブル?」

「ん、ああ……ちょっとな、まあ大丈夫だよ」

「……」

「……なんだよ」

「別に。まあ、あんま無理すんなよ?」


 栄一は佑真の肩をぽんと軽く叩いてにかりと笑った。

 佑真もそれに笑顔で返した。

 その様子を見たレイコはやたら不安そうな顔で佑真の元へ降りてくる。


「なんなんですか今の……!ちょっと危ない関係なんですか!ええ!?」

「……あのなあ……あいつとは付き合いがそれなりに長いからさ、きっと俺が何をしようかとか、なんとなく察しがついたんだよ」

「ぐぬぬぬ……私だってこう……佑真さんのこと知ってるんですからね!負けませんからね!!」

「……お前は何と張り合ってるんだよ?」


 佑真は呆れながらも少しだけ面白くて、思わずふきだしたのであった。


----


「ユーマ殿!こんなところに呼び出して一体どうしたでござるか?」


 佑真はルシールを校舎のわきに呼び出して、話をすることにした。

 ここは人があまり来ない穴場のスポットであるとはレイコ情報である。

 レイコがふわりと佑真の隣に舞い、耳打ちをするように話しかける。


「いいですか佑真さん。まずはルシールさんに恵梨香さんのことをどう思っているかそれとなく聞いてみてください」


 佑真は軽く頷くと、またしても腕に絡みつこうとするルシールに質問をすることにした。

 しかし、それとなくと言っても一体どういう聞き方をすればいいのだろうか。


「……ルシールさん、って……こう……三堂さんのこと、前から知ってたりした?」

「……なんででござるか?」

「いや、なんていうか……」

「それとなくって言ったじゃないですかー!」


 言葉に詰まる佑真にレイコの声が響く。

 佑真は「仕方ないだろ」といったような顔で返すしかなかった。

 ルシールは少しだけ口を尖らせる。

 金色の髪の毛がさらりと揺れ、その表情ですらとても愛らしいものであった。


「この間が初対面でござるよ」

「……そう」

「……」


 あまりにも気まずい無言の時間がしばらく流れる。

 レイコも何も言えず、その様子を見ていることしかできなかった。

 その空気を壊したのは、佑真であった。


「……ああ、だめだな!」


 佑真はパンと自分の頬を叩く。

 ルシールもレイコもその様子に少しだけ驚いたように佑真を見る。

 そして佑真はルシールの顔をしっかりと見て告げることにする。


「なあルシールさん。その、もしかしたらさ。三堂さんのことが苦手だったりするのか?」

「ちょ、ちょちょちょ佑真さん!!」


 レイコが慌てたようにふわふわと佑真の周りをうろうろとする。

 佑真はその事を気にせず、ルシールにそのまま聞き続けた。


「……なんていうかさ、本当にお節介で、余計なお世話かもしれないって思いはするんだけどさ……出来れば俺は、みんなに仲良くしていてほしいんだ」

「……ユーマ殿……」

「もちろん、無理にとは言わないけど……三堂さんは、俺にとっても大事な友達なんだよ」


「……あれ、萩原くん?なんでこんなところに……」


 その時、その場所に訪れた恵梨香が佑真とルシールの姿を遠くから発見する。

 会話の内容は聞き取れず、ただ佑真がルシールに真剣に話しかけているのだけが見えた。

 声をかけようと思った恵梨香だったが、それをやめてその場から立ち去ろうとする。


「……まだ会ってからそんなに経ってないけど……ルシールさんの事も大事な友達だと思ってる」


 恵梨香には、不思議とその言葉がはっきりと聞こえた。

 去るのをやめて恵梨香は影に隠れて、少しだけ近づいた。


「……なにやってるんだろう、私……」


 ざわざわとする心と盗み聞きをする罪悪感に耐える為に恵梨香は少しだけ唇を噛む。

 本当にこのまま聞き続けていいのだろうか。

 恵梨香が悩むうちに、佑真は話を続けていた。


「だから……その、なんだろうな……もし、萩原さんに何かがあるっていうんなら俺、相談に乗るし……」

「……!」


 恵梨香の心臓は縮みあがるように痛み出した。

 聞かなければよかった。聞いてはいけないことだったんだ。

 恵梨香はそう思って、耳をふさいで改めてその場から逃げようと思った。

 その時。


「……待ってください」

「え……」


 そんな恵梨香を引き留めたのは、レイコだった。

 レイコは真剣な表情で恵梨香の前に手を広げて立った。

 恵梨香は、そんな表情のレイコを見たのは初めてで、戸惑いそうになる。


「……だから、嫌なんですよ。変な誤解で溝が出来たりされたら。私」


 しかし。レイコはふわりと微笑んだのだ。

 その表情は優しさに満ち溢れ、恵梨香の心の痛みを和らげる。

 そして、恵梨香はその時初めて、自分が今泣きそうな顔をしているということに気が付いた。


「もう、どうせ聞くんだったら、ちゃんと佑真さんの話を最後まで聞いてあげてくださいよ」

「え……?」


 レイコは恵梨香を手招きして、もう少し近くで佑真の話を聞かせる。

 佑真は頭をさすりながら、ルシールに拙く口ごもりながら話しかけていた。


「……でもさ、三堂さんは……すごく優しい子なんだ。俺、ちょっと前に悪夢で悩まされてる時に、あの子なりに、ずっと俺の事を心配してくれてたんだ。それまでほとんど話したことはなかったのにだぜ?」


 佑真は恥ずかしそうにそう話す。

 その言葉を聞いた恵梨香は、そわそわして、ふわふわして、でもとても嬉しい気持ちを感じていた。


「……私、オカルトだからって、わくわくしながら、近づいたのに……」

「それでも、真剣に佑真さんのこと心配していたじゃないですか」

「……」


 恵梨香は恥ずかしそうに顔を隠した。

 それでも、なんとか気を取り直す。

 佑真の声を聞き逃さないように。


「それだけじゃなくって、もっといろいろあるんだけど……とにかく俺が言いたいのは……三堂さん、そういうのあんまり表に出す子じゃないんだけど……多分結構気にしてると思うんだ……だから、その……」

「……ユーマ殿、その……」


 ルシールが口を開く。

 佑真は話すのをやめて、ルシールの声に耳を傾けた。


「……そのう……実を言えば、あの子が苦手なんじゃなくて、その……」


 ルシールはしばらく口ごもりながら言うべきかどうか悩む。

 その動きもどこかかわいらしさをアピールしているようであるが、悩みはどうやら真剣なもののようである。


「……わ、笑わないで聞いてほしいんだけど……」

「……うん」


 その返事を聞いてルシールは一呼吸おき、覚悟を決めたように少しだけ口を開いた。


「……が、怖いの」

「ん?」

「だから!幽霊が苦手なの!怖いの!!」


 ルシールは恥ずかしそうにそう叫んだ。

 幽霊が、苦手。とは、つまり。


「……えっ!?……じゃあ苦手なのって、つまり、私!!?」


 レイコの声がむなしく響いた。

 当然、その声が聞こえないルシールはそのまま佑真に話し続ける。


「だ、だからその……幽霊とか好きってはっきり言うあの子に対して、その、ちょっと……なんというか……トラウマというか……い、いろいろあったのよ、昔ね!」

「な、なるほどな……」


 佑真も複雑そうな表情を浮かべて話を聞く。

 そして、ふと佑真は気付く。


「……あれ?ござるとか……」

「ああ、それはこの間ちゃんと藍にも言ったじゃない。あれはウケ狙いの演技。私みたいなかわいい海外の女の子がござる口調だったらギャップでかわいいでしょ?」

「そ、そう、かあ……?」

「あ、でも時代劇とか忍者とか好きなのはホントよ。ユーマの事も本当に忍者みたいでかっこいいって思ったんだから!」

「そ、それはどうも……」


 佑真はいまいち釈然としない気持ちを抑えつつ、今度はじゃあ、何故今それをやめたのかについて気になった。

 それについて問うとルシールは少しだけもじもじとしながら答える。


「それは……まあ、なんていうか?ユーマに自分隠したまま接していたくなかったっていうか……あと、恵梨香!そこにいるんでしょ!?」

「うええっ!?」


 恵梨香は突然自分のことを呼ばれて慌てふためく。

 そして、そろそろと出てきて二人に近寄り、まず頭を下げた。


「ご、ごめんね、その、盗み聞きとかするつもりじゃなくって、その……!」

「……なんか、変な誤解させて、ごめんね」


 謝る恵梨香に、ルシールも謝った。

 きょとんとする恵梨香にルシールは少しだけ詰め寄る。


「その、幽霊とか、無理矢理勧めたりしない!?」

「し、しない!苦手な人には、しない!……ように、する!」

「……信じたわよ?」


 ルシールはふっと笑って手を差し出し、握手するように求める。

 恵梨香はそれを見て、きらきらと嬉しそうに微笑んで手を握った。

 その手を握ったまま、ルシールはいたずらっぽく微笑み、恵梨香に顔を近づけて佑真に聞こえないように耳打ちする。


「……で。実際のところ、恵梨香とユーマって付き合ってるワケ?」

「え。……えええぇえぇっ!!?」


 恵梨香は顔をトマトのように真っ赤にして飛び退いた。

 その反応を見てルシールはふふんと笑った。


「なーんだ、その反応じゃ違うのね?だったらワタシ狙っちゃってもいいかしら?」

「え、あ、え、え、で、でも、あれだよ!?萩原くん、ハーレム作ろうとしてるよ!?」

「してねえよ!?」


 大慌ての恵梨香の発言を佑真は全力で否定した。

 佑真からしてみれば、突然謎の暴露をされて非常に心臓に悪い心地であった。

 ルシールはそれを特に気にも留めずに佑真の腕に絡む。


「へえ、ハーレム?ユーマって意外と肉食?結構女の子口説いてる感じ?そういえば恵梨香のことも大切とか言ってたもんね?」

「いや、それは……!」

「まあいいわ。だったらワタシ、ハーレムの中で一番目指しちゃうから」


 ルシールは佑真の頬にキスをした。

 佑真も恵梨香も、そのまま動きが完全に停止した。


「それじゃあ、ユーマ殿も恵梨香殿も、今後改めてよろしくでござる!では御免!」


 ルシールはそのまま悠々と一足先へと帰路へとついていった。

 しばらく固まったままだった佑真と恵梨香だったがやがて佑真は頭をかいて誤魔化すように呟く。


「なんか、これじゃあ本当にレイコの言う通りにハーレム作らされる羽目になりそうだな……」

「あ、あの、萩原くん……」

「あ、いや、別に本当に作るとかそういうことじゃなくてだな……!」

「……そうじゃなくて……!!……その、もしよかったらだけど……!」


 恵梨香は恥ずかしそうに指をいじりながら佑真に向かい合う。

 しばらく悩んでいた恵梨香だったが、決心したらしく、佑真に真っすぐに言った。


「な、名前で、呼んでくれないかなって……」

「……名前で?」

「ほ、ほら!大事な友達、ならさ……!……それで、私も、ゆ、佑真くんって、呼んでいいかな……?」

「……お、おう……」


 佑真は照れ隠しに自分の頭を少しだけいじり恵梨香に、言われた通りにする。

 少し、いやかなり恥ずかしいが。


「え、恵梨香さん……?」

「……う、うん、佑真くん……」

「……甘酸っぱい!!のはいいんですけどぉ!!!」


 レイコが突如としてそこに割り込んでくる。

 佑真と恵梨香は驚いてひっくり返りそうになった。


「つまりあれですか!?私はルシールさんと仲良くできない系ですか!?私はどうすればいいんですか!!?」

「ああー……まあほら、今は別に見えないから、大丈夫じゃないか……?」

「え、えっと、ほら……レイコちゃん、私がいるから、ね?」

「優しい!優しいけど……うぅー!!私のハーレム計画ーーー!」


 こうして、佑真と恵梨香、そしてルシールの距離が縮まったのとは裏腹に、レイコの声はまたむなしく空に響いていくのだった。

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