第86話「ニャンダーの冒険3」
「アユムのことについて知りたいだって?」
酒場で白いひげのドワーフに声をかけるモルフォス。
忘れているかもしれないが、とぉとぉ君(お仕置き中の女神)からニャンダーのお付きを命じられたがあまりの使えなさに、ブートキャンプを施された冒険者チーム『栄光の刃』のリーダー、自称美形戦士(25)である。
「……なんで俺に聞くかな……」
借金返済のためコムエンドに訪れていたグールガンは人形王プレゼンツ『チカリンONステージ』の感動を酒場で仲間たちと語り合っていたところで、苦い思い出を思い出さされた。
「知りたいんです! アユムちゃんに近づくためにも!」
「……!」
何かに気付いたグールガンは悪い笑みを浮かべる。そしてある事ない事、およそ2対8で伝えるのだった。
やがてモルフォスはグールガンに深く感謝を伝え去っていった。
「グールガン! チカリン講演会(魔法応用学講座)が明日あるらしいぞ!」
「マジか! いく! というかチケットは!」
「チケットなぞない! これから並ぶぞ!!」
「「「「おー!」」」」
懲りないロリコンどもであった。
尚、この時すっかりグールガンはモルフォスに伝えた嘘と真実をすっかりと忘れていた。
そのころ15階層。
「がう(それ、付けるの(´・д・`)ヤダ……むずむずする)」
『そこをなんとか、農業の発展とアユムの為に』
「……つけないと飯抜きな。あとダンジョン管理サボってるのダンジョンマスターに報告するぞ……」
大型耕耘魔法道具の装着を拒否するアームさん。
説得しようとするメイちゃん(大志)。
笑顔で脅しにはいる人形王。
「がう(ご飯は10階層でもらうからいいもん! あとお母様は最近忙しいから少しさぼっても気にしてないから大丈夫だもん♪)」
……ぺらっ。
『15階層階層主のクレイジーパンサー。高い個人戦闘能力を持ち、ダンジョン最初の難関。アユムのトウモロコシで優しい性格に気付き始める。ツンデレおネコ。後にキャットドラゴンに変化。オールラウンダーにして神々しいその姿はダンジョンの守り神である』(コムエンドダンジョン解説書より)
訂正依頼……よっと。
(ダンジョン解説書編集部御中
この度世界の声としてコムエンドダンジョン解説に一部齟齬を発見しましたので修正を申請させていいただきます。お忙しいところ恐縮ですが、ご精査のほどよろしくお願いいたします。)
『15階層階層主のクレイジーパンサー。高い個人戦闘能力を持ち、ダンジョン最初の難関。アユムのトウモロコシで優しい性格に気付き始める。ツンデレおネコ。後にキャットドラゴンに変化。オールラウンダーにして駄猫である。最近はダンジョンマスターが多忙の為管理業務のサボりがち。10階層に出没しては食べ物をねだるその姿既に階層主の威厳はない。お酒を持っていくと芸を披露してくれるのでお土産はお酒が推奨』
さて視点をもどすと……。
「がう!(アユムが言うならしょうがないな!)」
言い切るアームさん、その頭にはたんこぶができていました。
『抵抗しなければダンジョンマスターも現れなかっただろうに……』
「権力ってのは使いようだ、がはははははははは」
うん。人形王恐るべし!
「やぁ、みんな! とぉとぉ君だよ!」
虚空から人形が現れ右手を上げる。
『今実験が進行中だからパス』
「ちょ、馬鹿猫出力上げすぎだ! 魔法道具焼け付く! あー、片系ダメになってる!」
人形王キック。アームさんは麻痺ダメージを負った。
「あれ?僕神様なんけどな?あとメイちゃん。君には1週間前に通達してるはずなんだけどな?意見ある人いるかな?」
「そこの小さいの! 5~12番のパーツがいかれた。スペアもってこい!」
「はい! なんだよ!」
「くっそ、もっと強い魔法力安定期が必要だたっか……」
「持ってきたんだよ!」
「さんきゅう。お、工具も持ってきたか、気が利くな!」
「えへへ。先が読める神様! そう、とぉとぉ君だよ!」
胸を張るとぉとぉ君。あっさりと魔法道具実験に取り込まれ、あまりに戻りが遅いので心配で迎えに来た天使を見るまで目的を忘れるのだった。
「ガリーシャ様、ちゃんとスケジュールを押さえてください……」
「しゅん、何だよ……。あと僕! とぉとぉ君だよ!」
「はいはい」
こうしてある程度まで進んだ大型魔法道具の開発の途中だがメイちゃん(大志)は着ぐるみファイトに旅立っていくんであった。
「あ、大志さん。これ忘れてますよ」
40階層の魚からこの世界の魔法を発動するためにガントレットを受け取り……。
※書籍化2巻発売しましたので、仕事の合間で申し訳ございませんが頑張って更新していきます!※
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