よっしゃ公募に出したる! の前に確認してほしいこと

 本来、公募の情報を集めようとする方には必要のない項なのですが、やはりここは小説投稿サイト。この作品をきっかけに公募に挑戦しようと決意する方もいると思うので、念のために、当たり前のことを書かせてもらいます。

 まず、この作品の以前の項には、できれば全て目を通してもらえると話がスムーズに進みます。すでに触れた部分も多いからです。

 と言ってもなんだかんだで1万字以上も書いてしまっているので、補足すべきところは補足しながら書いていきます。


 では確認です。あなたの書いたそれは、小説ですか?


 結局のところこれに尽きるのですが、これだけだと禅問答染みているので、詳しく問診します。

 ここがWEB小説隆盛の場であることから、第一に、それはネット上で人気が得られるように最適化されていたりしませんか?

 前述したように、人気が得やすいとされるWEB小説のフォーマットと公募で求められる小説のフォーマットは違います。文字数は当然として、改行の間隔、起承転結の運び方、(さすがにないとは思いますが)改行する度に空行を入れる行為。

 ということで、小説は読んでいますか?

 自分が応募しようと思うレーベルの作品は勿論のこと、世間一般に流通している小説です。

 それらを読んでいれば、小説のフォーマットというのは自然に身につくものです。無論、自分の書きたい話に合わせて自分で最適化することは必要ですが、それすらも小説を数多く読んでいれば自然に引き出せるようになります。

 前置きが長くなりました。はっきり言いましょう。WEB小説なんざ読むな。

 いや、言い過ぎというよりは言葉のあやです。

 これまでの人生で小説というものを真っ当に読んできて、小説というものの基礎が自分の中にできているのなら、どんなものを読んでも基礎が揺らぐことはないでしょう。

 ですが無料で読めるものが目の前にあって、それだけを摂取してきたような人が似たようなものを再生産し、ランキングに載っている(ありがとうございます)これを読んで公募を目指しだしたら……と思うと、責任逃れのためにこんな項を書きたくなる筆者の気持ちも酌んでやってください。

 アニメや漫画やゲームだけを摂取し、小説を書きだすという意味不明な人は確かにいるそうです。なんでアニメや漫画やゲームの方面に行こうとしないんだよ。小説は代替品じゃねえんだぞ。

 それと同様のことが、今後WEB小説によっても起こるような気がしてならないのです。

 つまり、WEB小説だけを読んで小説を書くような人が現れるのではないかという危惧です。

 これはライトノベルの世界でも同様のことが起きています。ライトノベルだけを読んでライトノベルを書こうとする人が結構な数存在するのです。

 さらに言えば、どんなジャンルであれ、小説だけを読んで小説を書こうとする行為自体に、大いに問題があります。

 映画を見ろ、新聞を読めなどなど、このような指摘は数多くあるので、ここでは深く掘り下げません。

 無論、WEB小説にも一般小説と遜色のない作品が存在することは承知しています。検索すれば公募の最終選考に残ったような作品も結構な数出てきますし、WEB小説イコールこんなのという決めつけは全くの無意味であると言えるでしょう。

 ところが、WEB小説を広めようとする人間は、その決めつけを自分から行うのです。WEB小説の類型やパターンというものを、ランキングに載る作品だけを参考にこんなのと規定してしまいます。

 WEB小説イコールランキングに載っているものという認識が、すでにでき上がってしまっているのです。作品の話をする時になぜか異世界転生が前提になっているところを見た時は心底ぞっとしました。なんなのあの人たち……。

 そんなわけで、今後WEB小説に触れる人が読むことになるのは、こうしたものばかりになるのでしょう。それを変えるためのカクヨムなんだろうがしっかりせい。

 いずれにせよ、そうしてWEB小説しか読んでない、書くものがその類型にしかならないような人が公募に飛び出すのは非常に不健全だと言えるでしょう。

 そのノリはサイト内だけにしてくれ。下読みの方の負担を増やすだけなんだ。ということです。


 ではもう一度確認です。あなたの書いたそれは、小説ですか?


 ネットで読まれやすいとされる題材、テーマというのは公募ではイコールありきたりと受け取られるでしょう。人気を得ている要素に追随することは、公募では全く求められていないのです。

 お決まりのパターンを詰め込んで、読みにきた人の多くから面白いと言ってもらえる作品になっていませんか? これまで名作も駄作も読んできた、ほぼ強制的にその作品を読むことになった人に面白いと言わせるだけの力がなければ、どうあれ落選します。

 このサイトで公開しておいてなんですが、現在人気のいわゆるWEB小説と公募は全くの別物です。そのことをどうかしっかりと確認してください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る