第21話 『電話の件のご報告でございます』


 白三プロの劇団「スーパーセンチュリー」の公演会場である、下北沢の元田劇場。あと数時間で今日の公演が始まる。

 もう既に何日か公演しているとはいえ、スタッフは気持ちを緩める事なくキビキビと準備を進めている。


 そんな会場の中、スタッフロビーで打ち合わせをしている上森のスマホにテキストメッセージが入って来た。


「ちょっと失礼します」


 上森はそう言うと、メッセージアプリでテキストのやり取りを始めた。


テキスト送信者/フィジカル野口:上森さん、ただいまターゲットシゲル氏よりフィジカル宛に電話あり、予想通り激怒して元田劇場に向かいました

テキスト送信者/上森:了解しました。こちら本番準備中です。ゲネ*終わり、あと1時間で客入れです。タイミング調整します


テキスト送信者/フィジカル野口:よろしくお願いします

テキスト送信者/上森:クーリングオフは?


テキスト送信者/フィジカル野口:Refused*

テキスト送信者/上森:了解です。お疲れ様でした


 彼は簡単に情報のやり取りを終えると、せわしなく準備に動くスタッフと共に、公演の最終準備に入った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る