吟遊詩人の歌

むかぁしむかし まだこの国はできたばっかり

かの明賢王陛下のころよ

氷の海の向こうから 頭には角をはやし 竜の船に乗った巨人が

角笛拭きながら 大波のように押し寄せたぁ

矢が当たっても 槍で突いても 止まらねえ

鎧を着た騎士も 腕の一振りで吹き飛ばしちまう

あっという間に上陸されて シグルドの森まで攻め込まれたぁ

さしもの明賢王陛下も これには弱った

もうダメかと思ったその時だぁ!

ドラコフゥオーコロッソの旗印

コルヴォブルグランデの旗印

白き山を背中に 巨人どもに突撃したぁ!

紅旗の戦士たちは 火竜の息吹のように 巨人を焼き尽くす

青旗の戦士たちは 大鴉のように その爪で 巨人を引き裂く

巨人どもは這う這うの体で 冷たい北の海へ逃げていったのさ

(吟遊詩人が酒場で唄うアデルフリードの物語より)

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