第8話 レベルUPしませんか
翌朝、俺は、盾の修理を手伝いながら、昨日のメルとのやり取りをケインズに報告していた。
メルの巨大化魔法のこと、属性魔法を覚えたこと、そして魔力計のこと。
ケインズは、俺のしょうもない話に付き合ってくれていた。
魔力計の件については、ケインズにも心あたりがないようでやはり壊れていたんじゃ無いかと言っていた。
「魔力計は、魔力を貯める力を測るものなんだよ。だから魔力の強い弱いなんてのは魔力計では測れないのさ」
ケインズによると攻撃系の魔法の威力は、レベルを上げることで強化されるそうなのだ。サポート系の回復魔法なんかも同様らしい。
とはいえ魔力計の数値が高ければ連続して魔法が使えるということにもなるのでその意味では優秀な魔法使いであると言えるだろう。
勇者を目指す俺としては魔法を極めるよりもやはり剣だと思う。
決して言い訳じゃなく!
「ケインズは、どうやって剣の修行をしたんだい。やっぱ冒険をして……」
「そうだなぁ、剣の修行と言うよりもレベルを上げていった方かなモンスターをどんどん倒してレベルを上げることも出来るけどドロミドロを食べることでかなり経験値が上がるんだ」
何っ⁉︎ ドロミドロって毒みたいな名前なんだけど…
と言う訳で取りに来ちゃいましたドロミドロ!
結局ドロミドロが何かと言うとドロミドロとしか言えないのだ。
そのドロミドロがどこにいるかと言うとドロです、泥の中です。
ケインズに付き合って貰おうかと正直なところあてにしていたんだけど謎の会合がありダメとのことでした。カレンダーの今日の日付に花マルが描いてあったのでどうやら本当のようだ。
"謎の会合については、また今度調べよう。"
しかし、一人だとたくさん取れない気がするなぁ。ヒナはこちらから連絡取れないうえに、あまり長い時間は無理そうだし…。
「どこかに付き合ってくれそうな優しくてかわいい魔女っ子がいないかなあ」俺は、ため息をつきながら言った。目の前には、メルがいた。
「なあ、メルは、きっと嫌だろ。だから誰か紹介してくれたらありがたいんだけど」
メルは、手のひらをこちらにむけてグイと伸ばした。
「待った! それ、あたししかいないよ!と言うかあたしだよ!」
"かかった‼︎ "
俺は、さっきメルの家に寄ったのだ。もちろんドロミドロの捕獲を手伝ってもらう為なのだが、断られると他にあてが無い俺は、万全を期す為、茶番を演じる事にしたのだ。
そして今、俺は問題のドロミドロが繁殖する沼地に死神と立っていた。
「何で死神のカッコウしてるんだよ。メル!」
「あたしは今、魔力を高めているんだよ」と言って死神の仮面を外しフードを取った。
「メ、メルっ、お、お前髪の色が……」
銀髪だったメルの髪の色は、金色に輝いていた。
「あたしの髪は、魔力がたまると金色に変わるんだよっ」
なんだって!ドロミドロは、そこまでの相手なのか!スーパー・メルに変わらなければならないほどに!
そしてメルは、ローブを脱ぎ捨て魔力を解放させ……
"水着だった"
「おいっ、なんでまた水着なんだよ!」
「き、金髪に水着じゃ、だ、だめかなっ」赤くなった。
今回もメンドくさい展開になりそうだ。一応俺は、聞いてみた。
「なんだその、ドロミドロってやつは、潜らないと取れないものなのか?」
「そんな事ないよ。網ですくうだけだから超簡単だよっ」
「………。」
「………。」
水着いらなくね。
「では、ただいまからドロミドロ討伐作戦を開始する」
「はいっ、艦長!」
艦長ってなんだよ、メル!
「では総員点呼を取る」
俺は、結構調子に乗っていた。なんだかんだメルといると楽しいのかもしれない。
「いち」
「にいっ」
「さん」
「「!?」」俺とメルは、いないはずの3人目を見た。
そこには、ヒナが立っていた。
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