第7話 ゼロの魔法使い?

「あれぇ、壊れているのかな」

 メルはどうにも分からないといった様子で魔力計を調べていた。

 自分の数値も測ってみたがおかしなところはないようだ。


 あれから俺は、3回試したが数値はいずれも"ゼロ"だった。


 ちなみに"ゼロ"は、悪いのかどうなのか魔女っ子に聞いてみた。

「悪い、と言うか無い」

 即答だった。

「魔法を使うのは無理のようだね。あたしも初めてみたけど」


「どうにかならないのか、メル」

「肉屋のジョセフさんでも1は、あるんだ。それ以下なんて」

 誰だジョセフさんって、あとジョセフさんを魔力の無いものの代名詞みたいに言うな! というかやめてあげて。


 あれっ、ちょっとまてよ。俺ってカミナリの魔法出来たじゃん魔力無いなら無理だよな?

 それともあの時、妹が俺に自信をつけさせるために代わりに魔法を使ったとか?でも一緒に驚いていたしなぁ。


 とにかくもう一度試してみるか。


「メル、俺の魔法をみてもらえないか!」と俺は言った。

 メルは、かああっと耳まで赤くなって何も言わない。


「どうしたメル、頼むよ」

「だ、だってそれ魔法使いのプロポーズの言葉だよっ……」

 俺の"恋の魔法"のレベルは順調に上がっているようだ……


 とにかく試す事になり俺は詠唱を始めた。みててくれ!ジョセフさん!


 詠唱をとなえ終わると俺の指からカミナリがほとばしりまたもスプーンを直撃した。


「やったぁ、成功だ」俺は、やった魔力計に打ち勝ったのだ。

 俺とメルは、ハイタッチを交わした。「ウェーィ!」


「やったねダーリン! すごいよ、カミナリの魔法なんてハンパないよ!」

 いや、ほめすぎだろう。てか、ダーリンって何だ。


 しかし、魔法は使える事はわかった。だったらなぜ……


「ごめん、これは最初にいっておくべきだったんだけど」

 メルがすまなさそうに言った。

 何だ、何か取り返しのつかない事でもあったのだろうか。まさか、それが影響して……


「あたしのキャラ、妹タイプとお姉ちゃんタイプ、どっちがよかった‼︎」

 どーでもいい! マジ、どーでもいいから、それ


「メルは、メルだよ。タイプなんか決められないよ。カッコいい魔法使いのメル、それじゃダメかな」

「う、うん。それで…いい…」

 メルは、うつむいて少し赤くなった。


 俺がメルのカッコいい魔法をみたいというと快く了承してくれた。

 俺たちは、家の外に出て魔法を使えそうな広場に移動した。


「タケル、吹き飛ばされないように気を付けてみててねっ」


 見ると畑の真ん中にカカシが立っている。あれを狙いにするようだ。俺は、少しカカシが気の毒な気がした。


「あたしの最大魔法をぶち込むよ!」

 許せカカシ世界平和のためだ。


 メルは、魔力をため魔法を放った。

「ギガンテック インパクト‼︎」

 インパクト流行ってんのか?


 光の筋が、カカシをとらえ無残に吹き飛ばして……いなかった。


「ええっ、何コレ!」俺は、驚きのあまり叫んでいた。


 カカシは、20倍程の大きさに巨大化していた。これじゃあ鳥避けよりもむしろ鳥のすみかにちょうどいい。


「あたしの最大魔法だよっ」

 最大魔法と言うより最大になる魔法だろ!


「べ、勉強になりました。それと俺にごく普通の魔法を教えてもらえますか」俺はメルに頼んだ。


 メルは、調子に乗るとやらかすタイプだ、それが今俺が学んだ事だ。

 その後、俺は火、風、水の普通の魔法を教えてもらったのだった。


 魔力計の"ゼロ"の件は、メルのおばあちゃんに聞いてみてくれるそうだ。


 メルとまた会う約束をしてその日は、もう家に帰る事にしたのだった。

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