第38話 寝たままで人生を過ごしたい。 8月31日
寝たままですごしたい。
俺は子供のころ両親が事故で亡くなって、かなりの遺産が転がり込んできた。
最初は出前とかECサイトでほとんどのことを済ませていた。
それは中学を出てからかなり思いが強くなった。
高校行く意味ないじゃん。掃除も便利屋に頼めばいいじゃん、トイレも近くにある
玄関近くで寝てればほとんど起きなくていいじゃん。
しかしトイレと体調だけはどうにもならなかった。
トイレはやっぱりトイレでしたかった。俺はまだまだ甘いと思いながらもトイレに
行く。
しかし体調の方はなかなか大変だった。ずっと寝ていると腸の動きが悪くなって
便秘になるのだ。
これは厄介だった。牛乳や薬を飲んだりしたがあまり効かなかった。
仕方なく深夜に散歩に出かけ、運動することで何とか便秘は解消された。
しかし散歩したことで風呂にも入らないといけないし(それまでは体を介護用の
布巾で拭いていた)なにより外の解放感がたまらなかった。
人のいない街並みが気持ちいいのだ。
何だ、俺は寝たままでいるために人に会わざるを得ない生活をしていたじゃないか
おれは人に会いたくないんだ。
そして”その日”。
俺は家を売り払って旅に出た。
人のいない、ずっと起き続けて自分の世話をすべて自分でしないといけない
場所を探しに。
END
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます