第34話 必ず双子が生まれてくる村 8月25日

今は廃村になっているのだが、かつてその村では生まれてくる子供は必ず

 双子だったらしい。

しかしこの村では子供は必ず5歳になると双子そろって神隠しに合う。

そして帰ってきたときには片方になっていたそうだ。

しかしそのことに村人は誰も気にかけず、平和に暮らしていたという。


ところがある時この村にクマが出て、村人たちは全滅した。

ところが、ひと月もするとその村は復活していたという。

そしてそういうことは何度も起こっていたらしい。


実はこういうことが度々起こり、村人は山の奥に双子の片割れを冷凍保存し、

 それを世話する役の人間が毎年選ばれていたらしい。

そして、村が全滅すると、そこから片割れを解凍して村を復活させていたそうだ。


ところがある時期を境に、双子が結合して生まれてくるようになった。

おそらく血が濃くなり過ぎたのかもしれない。

他にもおかしな状態で生まれてくる子供だ出たが、何とか生きていられるのは

 結合した状態の子だけだった。

村では最初は分離して今までの風習に倣って対処してきたのだが、

 だんだん分離するのが難しい状態で生まれてくるようになった。


そうなると、村人の半分を冷凍し、半分を村人にするしかなかった。

ここで問題が出た、生きるのに支障が少ない方を冷凍するのか、今の村の生活の

 維持に使うのかという問題だった。

最初は半々にしていたのだが、だんだん正常に生活できる方が少なくなった。

そこでついに村を閉じる決断をした。

若い村人たちは去勢をし、老人たちは町の施設に入った。


そしてここは廃村になった。


その日、廃村が人さらいや強盗の巣になっているいう噂が出た事で調査に来た

 人たちは村が復活しているのを目撃した。

そこでは生に溢れた屈強な人間が普通に生活していた。


真相がわかった。

村にいた医者が村に残り、冷凍保存された者たちを管理していたのだが、

 その医者が町から人をさらって来て、冷凍保存された人の精液や卵子を採取して

 そのさらってきた人の精液や卵子を採取し、交配して熊の子宮で人間を

 産ませていたのだ。

そしてそれによって生まれた子たちは繁殖しはじめた。

やがてまた人同士から生まれた子は双子が生まれ始めた。

そしてまたその村の風習は復活する。


END

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る