第30話 夢をみなかった 8月20日

まいにち私は夢を見ていた。

いつも詳細に覚えていた。

いつも私はどこかのお店に行っては取り寄せしているのだ。

それは私の好きなもので、良く買うものだった。

ほかにも何かを予約したり確保したりもしていた。

そしてその夢の中で見たものが気になってつい現実でもその日のうちに

 買ってしまうのだった。


でも夢を見なくなった。

その日から自分のいつも予定道理になっていたことがそうならないようになった。


いつもの店にいつもあるものがない。

 いつもの駐輪場にいつもの空きがない。

 いつもの総菜コーナーで売れ残ってる刺身がない。

 いつもの・・・。

とにかくいつもの周期がなくなってしまったのだ。


もちろん重大なことではないけど、何か気分が悪い。


そんなことが続いたあと・・・。

その日、久しぶりに夢を見た。

私は夢の中でこれ幸いと好きなものを予約や取り寄せしまくっていた。

そして起きた後、その夢で予約したものがあるかを確認しに行った。

すると夢の中で見たものだけいつも通りにあったのだ。

夢の中で私が予約していたもの、確保していたもの、それらが夢を見たことで

 現実で取り置きされていた。


夢は人間社会にとっての事前予約の調整の場だったのだ。


END

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