第31話 火の点かない街 8月22日
ここは未来モデル都市、あまりにも分子化学・生物学が発展しすぎて何もない
ように見える空間も密度が濃くなり、また、酸素などの気体も完全にその
システムのサイクルの中に組み込まれ、加熱はできても火がつかない状態に
なってしまった。
人間も直接大気から酸素を吸収する必要がなくなり、大気中の飽和した酸素は
かなり少なくなっていた。
そんな中、ある分子機械が暴走し、酸素を大量にばらまくようになった。
濃すぎる酸素は人体にも影響があるので、大気中の酸素をなくすために
火を燃やすことになった。
ところが大気中にはまだ他の正常な機械があり、酸素の大量にある状態で火を
燃やそうとする行為を危険だと判断して消火してしまうのだ。
もちろん区画ごとに隔離して順番に燃やすし、人間や生き物は避難してやるの
だが、他のシステムが二酸化炭素が増えると壊れてしまうなどの理由で
そういう処理を拒否してしまうと分かった。
そこで未来モデル都市の外壁を壊すことになった。
これは自立AIの分子機械を野に放つことで、地球自体の環境が激変してしまう
かもしれない危険な行為だった。
しかし、背に腹は代えられないと、外壁を開放した。
一気に入ってくる外の空気。
それはとても汚れていて、都市に中にいた住民はたちまちアレルギーのような
症状で倒れていった。
その日。
都市は燃えていた。
都市の中の住民が外の人間たちに悪影響を及ぼす機械細菌を持っていたからだ。
ちなみにその都市の住民たちはすでにみんなアレルギーによる呼吸困難で
なくなっていた。
だから都市ごと火葬したのだ。
外に出たナノマシンも単独では生存できず、壊れたらしい。
ただ、その都市の中では熱にも耐える未知のものがあるらしい。
密閉され、燃やされた跡地はいまだに封印が解かれていない。
そしてまだ中で探鉱火災のようにくすぶり続けている都市の中で、
何かが進化しているという噂は未だに絶えない。
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