第24話 人間が増えすぎてバリエーションが無くなったので人間は自分たちで体のパーツを取り換えて何とか退屈を凌いでいた 8月11日

即興で描いているので出来上がった話が若干タイトル詐欺になりました。

あとで(3日に2日書く予定の8月が終わったら)感想のページにこのタイトルの案を乗せるかも。



本文


遺伝子は解析しつくされた。

それによって脳もほとんど解析されつくした。

じゃあ何で生きてるのかな。

”楽しい”は「楽しい」ではなかった。

でも唯一同じはずの他人の芝は青かった。

だから知らない人同士何かしらのパーツを取り換えることがはやった。


と言っても実際物理的に取り換えるのではなく、一瞬にして遺伝子を

 変換する薬ができたのだ。

そこで他人になることも容易になった。

タダだからと言ってそれは夢の技術とまでは言えなかった。

人間が解析されつくされたというのは、そこから生まれる結果も決まったものだ

 という事まで解析しつくされたという事だった。

だから、その腕から生み出される作品は、脳が違っても、こういう系統の作品になり

 もっと解析すればこういう作品ができますってのまでわかることだ。


ところでうまく働かない器官や欠損がるものはどうなのだろうか。

それにはまず、政治的思想、宗教的思想のある団体に所属して、そこでどういう

 選択をするかの免罪符のようなものを得るのだ。

その選択も、団体間の争いも当然ながら脳の解析で、どういう選択をし、

 どういう争いをし、どういう結末が起こるかまで分かるので、もうそれに文句を

 言うのが無駄だという”結論”が出ていた。

もちろんそれに反対する人はいたが、団体に入ってない1個人ではノウハウが足りず

 団体に入ると各団体間のしがらみにもみ消されてしまうようになっていた。


そうして人々は思想によって再分類、再移住していた。

でも、その殻変化が起こった。濃密な似た者同士の交配は新たな変異をもたらした。

進化するはずの遺伝子の部分が異常に進化し、しない部分の変化のしなさも

 以上に進化がとどまった。

これは環境の不自然さに他ならなかった。

都合のいい人間関係や現実の自然環境などにより、もはや人間の進化とは言えなく

 なった。

そこではその環境でしか生きられない人間が増え、より遺伝子の変異は大きく

 なった。

意味のない遺伝子や本来遺伝子にない物質が遺伝子として表れ始めた。

最初は解析もできたのだが「それがそうなる」というサンプルでは予測しきれなく

 なった人間は、自らが怖くなった。

それなら遺伝子を人工的に作って戻ればいいじゃないかと思われたが、環境を

 今の遺伝子に合わせすぎたため、それがどう作用するかというシミュレーション

 も成り立たないほどになってしまったのだ。

もう走り出した進化は止められないと悟った。


自分たちは人間に戻らなければならないと強く思い始めた。

もしかしたら百年前に別れた他の人間の遺伝子を分けてもらって調べたら、

 予想された進化に戻るのではないかと思い始めた。

ただこういう進化は他の地でも起きているのか、という問題もあった。

だとしても自分たちもそうであるように今の地球環境に対応できる上での昔の

 遺伝子の残り香が残ってるのではないかと思い始めた。

これは、同じ不安なら、今の自分たちの進化の不安より、コロニーの外を冒険する

 不安の方がいいとさえ思うようになる契機だった。


その日、人間たちは未知の地域に旅立ちを決めた。道中何かが出てきてもそれが

 人間かもわからない。

でもそれが知的好奇心をくすぐってたまらないのだ。


そしてコロニーの扉は開かれた。


END

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