第20話 恋する恒星 8月5日

ある銀河系でのお話。

太陽は自分の惑星の中から好きな衛星を選んで、自分に献上するように命じた。

惑星たちはどんどん衛星がなくなり、仕方なく自分の重力を高めて隕石などを集め、

 その中で墜落しないものを自分の衛星とするようになった。


そうしているうちに周りの”かけら”はもう殆ど無くなり、彗星ですらも

 もうどこかの惑星に取り込まれてしまっていた。

そして、最後の彗星として注目されたのが500年周期の彗星だった。

おそらくこれが最後の彗星だろうという事でみんなそのすい星を自分の引力圏に

 入れようと準備を始めていた。


いざ、その彗星が近づいてきた。

惑星たちは重力を最大に強めて待機していた。

すると星々が近づき始めた。

惑星たちは慌てて重力を弱めたが、もう遅かった。

加速がついた惑星たちはどんどん近づき、衝突し始めた。

そしてすべての惑星は衝突し、合体した。


そして重くなったその1つになった惑星はだんだん太陽の重力では

 捕まえきれなくなり、少しづつ遠ざかっていった。

太陽はそれが自分から逃げたものだと思い、許せなくなり、怒り始めた。

イカリの感情でどんどん赤く大きくなっていく太陽。

心配して1つになった惑星は近づいて行った。


そこで見たものは、太陽の崩壊だった。


太陽は自我が抑えられなくなり、どんどん体の一部がはがれていった。

一方で太陽の感情は中で高まっていた。


これは危険だと1つになった惑星は太陽の心の中心に近づく。


どんどん発散していく激情の中をかき分けて中に進む1つになった惑星。

見えてきたのは内部でふつふつ凝り固まっていく凝縮していく想い。

そしてそれがついに爆発した。


その日、刹那に現れた暗黒の感情はすべてを飲み込んだ。

全ての感情はなくなり、この銀河は晴れて一つになったのだ。

みんな一緒に。

周りから見たら永遠の幸せを手に入れたように思う。

本人たちは気づかないのが残念だ。


END

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