第27話 継承
俺達はセヴァンの修練場で
「突然の招集に応じてくれてありがとう。時間がない。あんたら、エルフの騎士団には
「私からも頼む。これから大きな戦争が起きる。その戦争を止めるためにはこの力が必要なんだ。」
セヴァンも俺の隣で一緒に頭を下げる。
「セヴァンさんが言うんじゃぁしょうがねぇよ!!」
「そうだ!!!」
「それに人族にしか無いと言われた力が使えるんだろ?なら文句は言えねぇ!!」
みんな声を揃えてそれぞれの意見を口にした。が─────
「ちょっといいか?セヴァン。」
「どうした?レイ。」
「俺はちょいと納得がいってねぇ。こいつの強さを知らないのに従えっていうのもどうかと思うが?」
「それもそうだな。ニリア。お前から言ってやれ。」
「分かりました。彼は、この私を負かしました。」
その言葉にこの場の全員が息を呑んだ。
「うそだろ?」
「本気だったのか?」
そう、騎士の一人が言うと。
「ええ。それも私はソニック・ムーブを使った戦闘で負けました。」
「「!?」」
この時、騎士の全員に衝撃が走った。
「これでいいだろ?レイ。」
レイという騎士は目を見開いたまま俺の方を向き、小さく「ああ。」とだけ言って元の場所に戻った。
「じゃあ始めるぞ?」
「始めてくれ、神風。」
そう言われると俺は一歩前に出てまず実際に使ってみせた。風魔法を使い自分の体を浮かせてみせたのだ。
「いいか?この力は想像力がかなり要求される。だが、使いこなせれば詠唱するよりも遥かに制御しやすくなる。魔法は詠唱によってイメージを固めさせ、魔法を放つ。つまり、詠唱をなしにして魔法を使う感覚をイメージすれば、無詠唱での魔法が使えるようになる。まずこれをマスターしてもらう。ちなみにセヴァンはもうここに来る途中の俺の説明だけで完全に無詠唱魔法を使えるようになった。」
俺が解説を言い終わると少しざわめいたがそれぞれ散らばってそれぞれ得意な魔法の無詠唱発動の練習を始めた。俺はその間に、ニリア、セヴァンにその先を教えることにした。
「ニリア、セヴァン。お前たちにはこの先を教える。」
「ああ。」
「分かりました。」
「まず、そもそも
「なるほど。つまり、剣を振るときに強く剣の斬撃の軌道をイメージしてそれを開放すればいいということだな?」
「さすが、その通りだ。ついでに言うと魔法も同じだ。属性の魔法だけを無詠唱で発動して、それを自由に変形させる。」
「それを使って空中に浮いた。ということなのね?」
「そうだ。」
この2人はなんでこんなに飲み込みが早いんだよと内心思ったが、これはありがたいことだ。本当に助かる。なにせ時間がない。とにかく急がなくては。
「セヴァンできそうか?」
「今やってみる。」
「俺に打ってくれ。俺が斬りかかるから。」
「おい、大丈夫なのか?そんなことして。」
「ああ。問題ない。より実践に近い状態でやったほうがいいだろ?」
「たしかにな。」
俺達は修練用の剣を取り、10mほど離れた。
「いつでもいいぜ?」
「よし、行くぞ!」
セヴァンは地面を強く蹴り突進してきた。俺はそのまま受けの体勢に入り受け流そうとした時、セヴァンのソニック・ストライクが伸びてきたように見えた。
そう、セヴァンはソニック・ストライクの突き攻撃を飛ばしてきたのだ。
「くっ!?」
俺はなんとかそれを避けることができたが、セヴァンの本命のソニック・ストライクを剣で受けるのが精一杯だった。
「そんな、使い方があったか。なるほどな。面白い。セヴァン。それをあとは他のみんなにも教えてやってくれ。俺達はそろそろこの街を出て、王都に向かう。」
「わかったよ。神風。後のことは任せろ。」
そう言ってセヴァンは俺に近づいてきた。
「そうだ、これをやるよ。」
「これは?」
「エルフの魔法の技術をフルに使った、通信の魔石だ。これを使えば音声でのやり取りが遠くにいても可能になる。この魔石を使えば相手の方には音声が聞こえてくるよにななってる。ストレージに入れておくだけでいい。あとはメニューウィンドウのところから使用できる。」
「なるほど。拡張機能ってわけか。ありがとう。」
俺達は更に修練をした後、この街、アルフヘイムを後にした。
27話 継承 完
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