第17話 決意
俺達は先日、村を救ったわけだが村の被害は無視できないものだった。
俺達はあれから一週間、村の人々と協力して村の復旧作業をしてきた。そしてやっとこの村はある程度復旧の目処がたった。
俺は一旦ここで村の人々を村にある広場に集めた。そう、あのことを伝えるために……。
「みんな……。こんな忙しい中集まってくれてありがとう。」
「みんなに伝えたい事がある。」
「伝えたいこと?」
ディグルが前に出て問い返してくる。
「ああ。」
「今回の事件は俺がここに存在していることに関係していると思ってる。」
「どういうことだ?」
「
「つまり、この世界に何かが起きると言うことだな?」
「ああ、まだ。確証は無い。でも、可能性がある限り見過ごすわけにはいかない。」
「そうだな。」
「こんな状態の中悪いんだけど、旅をしようと思う。この世界、いや全世界を守るために。」
俺の言葉に村の人々は動揺を隠せない様子だった。
ディグルは俺の目の前に立って言った。
「剣士神風よ!ウォロ村村長として命ずる!」
「村を旅立ち、事件の真相を突き止め、世界を人々を救ってくれ!」
「はっ!」
俺はこの瞬間だけは剣士神風ではなく、騎士神風として返事をしなければ行けないと思った。
そして俺は目線を移動させ、ある男の方を向いた。
「天風、お前も来てくれ。お前の力が必要だ。」
「うん。前にも言ったろ?なんでもするって。ついていくよ。どこまでも。」
「ありがとう」
この事件の解決で活躍した俺達は衛兵からこの村で一番最上位の上級騎士に任命されている。そしてその騎士としての最初の仕事それが世界を守る。ということだ。
「私が王都に紹介しておこう。」
ディグルはこの辺境の村の村長ではあるがどの村の村長よりも顔が利く。なぜなら、もとは王都の人間で王都で起きた殺人集団による事件を解決した男だからだ。
つまり、ディグルはこれでも国における最高位騎士、《
「よろしくお願いします」
「他の国や村、街にも報告しておくから安心してくれ。あとで証明の書面を作ってやる。」
「何から何までありがとうございます。」
「いや、お前たちは私が認めた騎士だ、改まる必要はない。」
ディグルは本当に良い人だ。これがいい人というのかは知らないが、ディグルは王都の最上位の騎士なのにも関わらず俺がタメ口で話していても何も言わない。まぁ俺が直せばいい話なのだが………。と、まぁそれは置いておこう。
ちなみにディグルの実力は俺くらいの相手なら指一本で決着がつくくらいには強い。
でも、イメージの力を完全に覚醒させた今、絶対に勝ってやる!
と、まぁディグルは本来なら敬語で話すべき対象なわけだ。
「そ、そうですか。」
「じゃあ、みんな。今までは一方的に俺からの説明になってしまったわけだけど。」
「みんなから何か言いたいことはないか?」
俺がそう言うと周りがざわざわし始めた。そして、一人の少女が前に出てきた。
ルースだ。
「一ついいですか?」
「ルースか、どうしたんだ?」
「まず、今回のこと、いや、今までのことについて、本当にありがとうございます。」
「これはここにいるみんなが思っていることだと思います。」
ルースがそう言うと「そうだ!ありがとう!!」「よくやってくれた!!」など感謝の言葉が湧き上がった。
「い、いや、やめてくれ。恥ずかしいから……。」
俺は顔を真っ赤にして視線をそらした。
「いえ、これは本心です。」
「あ、ああ。わかったから、本題に入ってくれ。」
「はい、天風さんの剣についてなんですが、旅をするにはその剣ではおそらくもたないでしょう?」
「まさか……あそこに行かせる気か?ルースよ」
ディグルは心配そうに言った。
「いえ、あくまで情報としてです。」
「この村より東へ向かったところにある、王都へつづく唯一の道、白竜の洞窟があります。名前の通り、そこには人界の守護竜、《白竜レクセーラ》がいます。」
「その竜が認める実力のある人間が通ると新たな道が現れる、そして試練を受け、本当に認められたものは人界最強と言われる剣、《白竜の剣》を貰えるのです。」
「神風さんが持っている剣はその魔界の守護神の剣、この世界最強の剣が2本になる、そうすれば、この世界を救えるはずです。」
「やっぱりな、俺の剣、黒竜の剣が魔界の守護竜、俺も気になっていたんだ。」
「天風、試練を受けるとしたら、お前になる。」
「お前が決めろ。」
天風は少しうつむいた後、すぐに顔を上げ、覚悟を決めたという表情で言った。
「わかった。その剣……俺に使えるか、わからないけどやってみる。いや、やってみせる!」
天風が覚悟を口にしたとき、ディグルが俺たち二人の前に出てきた。
「神風君、天風君、君たちには新しく、防具を支給しよう、この村の最高の技術、最高の素材でな。」
「それはありがたいです、でも、この状況でできるんですか?そんなこと。」
「問題ない、貴重な素材や道具はすべて地下の奥深くにしまってあるからな。」
「さ、さいでっか……」
俺はなぜか自然とそう言ってしまった。
そうして、この事件は幕を閉じた。だが、そのかわりに新たな、冒険が幕を開けたのであった。
17話 決意 完
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