第15話 襲撃
俺達は目的を果たすため、剣の修練に励んでいた。
「だいぶ形になってきたな。天風。」
「うん。でも、まだダメだよ。」
「そうだな。《ツイン・スラスト》は確かに、連撃技の中では一番簡単だけど単発技に比べて気をつけることが増えるからな。まぁ、焦らずにやってっきゃいいよ」
「いや、だってこの世界を守るために旅をするんだろ?なら、できるだけ早く、強くならなきゃ。」
「まぁ確かにそうだな。でも、焦るな。その焦りはいつか自分を殺すぞ。」
俺は真剣な表情で言った。
「そ、そうだね」
───数時間後
「だいぶ良くなったな。」
「そう?」
「ああ、後は手首のひねりの角度とタイミングだな。」
「う、ううぅ」
天風はうなりながらうつむいた。
その時、村の方から爆発音のような音が聞こえた。
「「!?」」
「今の…」
「ああ、村の方からだ」
「ど、どうしよう。何かあったんじゃ……」
天風はおどおどしている。
「お前は、何のために剣を握ったんだ?何のために今、剣を修練しているんだ?」
「剣士として、やらなきゃいけないことがあるんじゃないのか?」
「うん、そうだ。俺は……守るために剣を握ったんだ……行こう。」
「そうだ、お前は立派な剣士だ。」
俺達は村に向かって走り出した。
そこに見えたのは燃え盛る村の姿と、村を襲う魔物の集団だった。
「天風!お前は村の人たちの安全を最優先に!戦うんじゃない!守るんだ!」
「うん!でも、神風は?」
「俺は、奴らを駆逐する!」
「分かった」
「いいか、今こそが、命を選ばなきゃなんないときだ。腹をくくれ。」
「うん」
天風は何時になく真剣な口調で言った。
「俺は先に行く!お前は、村の人たちのことを頼んだぞ!」
「おう!」
俺は夢中で走った。俺の出せる最高の速度で、そして
「すごい、あれが……
俺は一瞬で村に到着し、村の中の魔物を薙ぎ払っていった。
そして、俺はついにこの集団の長らしき魔物を見つけた。が、その頃には俺の体は立っているのも難しいくらいにボロボロだった。
「お前が……この集団の長だな……?」
「そうだ。私はこの襲撃作戦、ダークヒューマニティ隊の長、シャービス大佐だ。」
「よくも…この村をここまで破壊してくれたな…許さねぇ。」
「ふっ、そのボロボロの体で私に挑もうというのか?笑わせてくれるな!」
「だが、その度胸に免じて私がこの大剣でお前を殺してやろう。」
「そりゃ、どうも。じゃあ、遠慮なくこの剣を使わせてもらうぞ。」
俺はそう言って。ストレージに入った、黒竜の剣を取り出した。
俺は今まで剣を天風に教えていたわけだ。そのため俺は最初から持っていた木の剣で戦っていた。
「ほう。その剣は…おもしろい。魔族の守護竜、黒竜の魂の宿った剣を扱うとはな。」
「へぇ、やっぱり分かるのか。こいつの正体が。」
「当たり前だ。」
「そうか。んじゃあ、ラストゲームといこうか」
剣を構え集中した。この戦いで体中に負った傷が痛むがそんなことはもはやどうでもいい。俺の命よりも俺は村の人々を優先する。
シャービスが地面を蹴ってこちらに突進してくるのを見て、俺も地面を蹴った。俺は最大限、体制を低くしてシャービスの大剣の下に潜り込んで大剣を黒竜の剣で上に弾いた。大剣の重さに体を持っていかれたシャービスは体制を大きく崩した。
俺はそのすきを見逃さずに俺は《スクエア・サイズ》を放った。
俺の四連撃は、全てシャービスの腹にヒットした。が、流石はダークヒューマニティの大佐だ。それでも天命バーは残り3割のところで減少を止めた。
ちなみにこそ世界では、戦闘態勢になると自分の視界に自分の
そして、一度でもダメージを受ければ他の人から見るとその人の頭上に天命バーが表示される。
俺の天命はすでに2割をきっている。普通の人ならもう体を動かすこともできないほどの傷だ。だが俺はそれを
「くっ、」
「どうやらそこまでのようだな。人族の剣士にしてはなかなかの腕だった。その力に魔族の剣士として敬意の姿勢だけは示さなくてはな。」
俺は剣を杖にしてなんとかたとうとしたが立ち上がることはもうできなかった。
そして、限界を超えた体は反動で再び天命バーの減少が始まる。
シャービスは俺の方に近づいてくる。そして剣を高らかに上げた。
俺の視界はぼやけていき、力が入らなくなりついにその場に倒れた。霞む視界の中、シャービスとは別にこちらに向かってくる一つの影、そしてその影のすぐ横で紅く光、その光は霞む俺の目に突き刺さった。
俺がそれを認識したと同時にシャービスの大剣は俺をめがけて振り下ろされた。
15話 襲撃 完
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