第14話 伝説

 あれから1ヶ月がたった。すでに天風は基本的な必技をマスターし、今では村周辺の魔物を一人でダメージを受けずに倒すことができるくらいになった。

そして今日、天風にあることを頼もうと思っている。そして、そろそろいつもの待ち合わせの時間だ。


「やあ、神風、おはよう」


「おう!おはよう、天風」


「早速行こうよ。今日こそは2連撃技を完成させてやる!」


「おお、やる気だな。でも、今日はその前にお前に頼みたいことがあるんだ。」

「歩きながら話そうぜ」


「頼み?まぁ俺にできることならなんでもするよ?」


「ありがと」


俺達はあの湖に向けてあるき出した。


「俺はこの村を出て旅をしようと思うんだ。」


「旅?」


「そうだ。俺が想像イメージの使い手だってことはもう知ってるだろ?使い方教えたし」


「うん知ってるよ。でもどうして?」


「俺はエルによってこの世界につれてきてもらったんだ。」


「エルに!?」


天風は驚いた様子で聞き返してきた。


「ああ、一ヶ月前、エルに聞いたんだ。想像イメージの力を持った人間が居るということは世界がその力を必要とした時だって。」


「それってつまり……」


「そうだ。何かが起きる…可能性がある。だから俺はそれを止めたい。想像イメージの力はその力を持った人間と過去、未来、現在問わず繋がっている。」

「過去にあった戦争、それがまた繰り返される可能性があるんだ。」


「え!?それって…あの伝説になっている。あの戦争のこと?」


「そうだ。」


「!?」


 天風は戦慄の表情を浮かべている。

そう、この世界の伝説にこのようなものがある。


───想像世界サッツァニア、想像イメージの力の伝説


 今から約300年前。

創世神エルによって張られた結界が魔族によって、破られた。

そして、このサッツァニアの大地に魔族の大軍勢が押し寄せてきた。

サッツァニアの大地は魔族によって焼き尽くされ文字通り、火の海になった。

そんなサッツァニア危機を救ったのが想像イメージの力を持った少女だった。

その名はフィル、生まれた瞬間から特別な力を持っていた彼女は、その当時はまだ、12歳という若さで魔族との戦の前線に立ち、想像イメージの力を完全に開放し、自分の命と引き換えに、世界を救った。


これが想像イメージの力、そしてこの世界の伝説だ。


 俺には想像イメージの力を完全に覚醒させてから、様々な記憶が伝わってくる。もちろん、条件無しに伝わってくるわけでは無い。その情報を必要としたときや、その記憶に関係していることを話している時などに伝わってくる。



そしてこの伝説の300年前にも同じことが起こっている。これは過去の想像イメージの力を持った者の記憶が俺に伝わり、分かったことだ。


とまぁ、こんな事があったわけだ。


 俺は真剣な表情で天風に向かって


「天風、俺と一緒に来てくれないか。お前の力が必要だ。」


「うん、さっきも言ったろ?俺にできることならなんでもやる。」


「ありがとう。」


「でも、俺の力じゃまだ神風の足手まといになるだけだ。だからもっと剣を教えてくれ!」


「ああ、じゃあ早速始めるか。」


「おう!」


 俺達は話しているうちに湖に着いた。俺達は早々に剣を抜き修練を始めた。

その日のために。


14話 伝説 完

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