第10話 確信

 俺は先日の事件の疲れで爆睡してしまっていた。目を覚ますともう昼になっていた。体を起こし、ベッドから出た。


 俺は窓際にある椅子に座り、空を眺めた。


「本当に異世界にいるんだなぁ」


 俺は自分が異世界にいることを再確認するようにつぶやいた。

俺は立ち上がり部屋の扉を開け階段を降りリビングに向かった。部屋に続く扉を開けるとそこにはなぜかルースが居た。


「えぇ!?」

「ル、ルース!?」


ルースは俺の声に気づき台所から出てきた。


「おはようございます。神風くん!」

「お、おはよう……じゃなくて!!なんでいるんだよ!!」

「ルードさんに呼んで来いと言われて来てみたんです。で、扉越しに呼びかけてみたのですが出て来る気配がなかったので扉を開けてみたら鍵がかかってなかったので入ってみたらまだ寝ていたので、ルードさんに報告したあと起きたときにすぐご飯が食べられるよう、ここでご飯を作っていたのです。」

「あ、はい。まぁ、ありがとう……ちなみにルードはなんて言ってた?………」


俺は恐る恐る聞いた。


「聞きます?」


あれ?この子ってこんなにSっ気あったっけ?


「はい。」

「ええとですね。『起きて身支度したら村の入り口に来い。』だそうです。」

「あ、はい」


どうしよう嫌な予感しかしねぇ。


「それはそうと、ご飯作ったので食べてください!」

「おう!ありがとな。ありがたくいただくよ」

「はい!」


 俺はルースが用意してくれた食事を食べ終え、俺は身支度をし村の入口に向かった。


「いってらっしゃーい」


 ルースは手を振って見送ってくれた。

こりゃ、本当に妹かなにかだな。と思った。


 俺は少し離れたところの家の陰で俺の得意なスキルうちの一つ、隠蔽スキルを使ってルードの様子を伺った。

何故かルードの周りに兵士が数名いる。


「これはもしや怒られるわけじゃないのでは?」


俺は期待半分、不安半分でルードのもとに向かった。


「ん?神風じゃないか!遅かったな。」

「す、すみません」

「村を守ったんだ。今日くらいは咎めるわけには行かない。」

「あ、ありがとうございます。」


俺は一応感謝の言葉を言ってから、いつもの口調に戻した。


「で、なんでこんなに集まってるんだ?」

「ああ、少し待っていろ。今にわかる。」

「は、はぁ」


しばらく待つとディグルさんがやってきた。


「神風くん、先日は本当に有難う。」

「いえ、そんな改まらなくても……」


俺は頭を下げているディグルにあわてて頭をあげるよう言ってなんとか顔を挙げさせた。


「で、これは一体どう言う状況なんです?」

「神風くん、君に渡したいものがあるんだ」

「渡したいもの?」

「そうだ、ついてきなさい。」


 俺は半信半疑のままディグルに付いて行った。

渡したいものとは一体何だ?俺はいろいろと考えては見たものの一切わからなかった。

 

しばらく歩くと村の中にある小さな洞窟についた。


「ここは?」

「まぁ入ればわかる」


 なんで俺に何も教えてくれないんだ?と疑問には思ったがあえて聞き返しはしなかった。


「さぁ、神風くん、この剣を抜きたまえ!」


そこにあったのは黒い輝きを放つ片手直剣が地面に突き刺さっていた。

俺はその剣に吸い込まれるように柄を握った。


その瞬間、記憶とすべてが繋がった気がした。だが、それ記憶は黒い霧のようなものに覆われている。


「……いったい…これは……?」


 俺は右手で頭を抑えながらその記憶を確認するように言った。


「どうした!?」


ルードが慌てて俺のもとに駆け寄ってきた。


「大丈夫か?神風!!」


ルードは俺の肩を掴んで言った。


「!?」


俺はその声で現実リアルに戻った。


「あ、ああ。大丈夫だ。」

 

 間違いない俺はここに居た事がある。この剣、《黒竜の剣》を握ってわかった。

でも、それ以外はわからない。


 俺はこの世界空間には重大な何か事件が起きているのだと確信した。


 俺はルードに離れるようジェスチャーし、こいつを引き抜いた。

黒竜の剣はキイィィィィンと言う音を鳴らして黒い閃光を放った。

あたりは黒い光に染まりやがて消えた。


「「おお!」」


 周りの兵士たちから歓声が沸いた。


「これは…」


俺がこいつを引き抜いた瞬間からさらに力がました気がした。


「ふっ……よろしくな…黒竜の剣……」


この剣は一つになったかのように俺の体に馴染んだ。


「な、なんで…この剣の名を知っている?」


ディグルが聞いてきた。


「こいつが教えてくれたんだ。」

「「??」」


その場にいる全員の頭の上に?マークが出ているのが見えた気がした。

俺はみんなが言わんとしていることを察したので答える。


「ああ、多分、想像イメージの力じゃないかな。」

「なるほど」


この世界はある意味都合がいい。なにせ想像イメージの力と言っておけば大抵のことはなんとかなる。


「少し離れてくれ。こいつを試したい。」


全員が安全なところまで離れたのを確認し、俺は黒竜の剣を構えた。そして気合を込めて目の前にある大岩に向かって片手剣用魔法斬撃混合8連撃技、《マジック・ソード・ファンタジア》を放った。


「せぁっ!!!」


俺の必技は大岩にヒットし爆散させた。


「「おお!!」」


周りから歓声が湧き上がった。


「いい剣だ。使わせてもらうよ、この世界アストニアのために。」

「ああ、ぜひ、使ってくれ。」

「ありがとう。最高の剣だ。」


この剣から送られてきた《イメージ》はいったい何だったのだろうか。俺はこれから何が起きるのかそれが不安で仕方なかった。


10話 黒竜の剣 完

 




















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る