第2話 並行世界
仮想世界の中で、その世界の
『よく詳しい話を聞かないで決めたね』
「ははっ、確かにな」
俺と少年は互いに苦笑する。この少年とは初対面のはずなのに、不思議と話しやすい。少年は続けて説明を再開した。
『まず、並行世界に移動するためには、《条件》があるんだよ』
「条件?」
『うん、並行世界に行くためには、そこの世界の創世神が直接連れて行く必要があるんだよ』
俺はこれを聞いて数秒時が止まったのを感じた。
「……って、ええっ!?」
「てことは……あんたがその世界の創世神ってことなのか!?」
俺は動揺を隠せずに声を震えさせながら聞いた。
『うん、そうだよ』
何と軽く答えるものかと思ってため息をつきながら、俺はもう一つ気になっていたことを質問した。
「そういえば…この世界から俺が居なくなる場合、俺に関する情報はどうなるんだ?」
少年は一瞬考える素振りを見せたがすぐに答えが返ってきた。
『そうだね……君の存在そのものが消える、って言えば分かるかな?』
この言葉が意味すること……それは、俺の存在そのものが無かったことになるということだろう。つまり、友達や家族からも認識されることはなくなるということだろう。
『うん、そういうこと。君は理解が早いねー』
「いや、まだ何も言ってねぇぞ」
『いやーごめんねー。ぼくはこれでも神だからね。心を読むことだってできるんだよ』
少年は笑いながら言った。
そして俺はもう一度よく考えた。本当に行っても後悔は無いのか……いや考えるまでもない俺が居るべき世界はここじゃない。何故かそれは確信できる。そこに俺の求めるものがあるのなら、俺は、迷わずにそれに向かって突き進もう。答えは、もうこいつと会った瞬間から決まっている。
「行くよ。……俺を、その世界に連れて行ってくれ」
『本当にいいんだね』
俺は右手の拳を握って短く、決意を述べた。
「……ああ。」
『わかった。』
『じゃあ、魔法陣の中から出ないようにしてね』
少年は両手を前に突き出して詠唱を始めた。すると体中に浮遊感を感じ、ものすごいスピードで移動を始めた。次元が歪み始めその中を通過していく。次元の
俺はこれから始まるであろう冒険に心躍らせながら、到着を待った。
2話
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