人生という名のロールプレイング
るみにあ
第1話 決断
この
俺はふとそんなことを考えていた。結論から言えば果ては存在する。世界の端に行ったとしても描写距離の許す限り
「最近つまんねぇな……なんか面白いことねぇかなー…。」
俺の名は
俺はこのゲームを正式サービス開始当初からプレイしている。今では最強、最速のプレーヤーと言われており《神速の神風》とまで呼ばれている。
というのも俺は40人のレイドパーティでも倒せなかったレイドボスを一人で討伐してしまうほどの実力を持っている。その為、最初のうちは手合わせしたいとデュエルを申し込んでくるプレイヤーも結構居た。があまりに強すぎて申込みがなくなってしまったのだ。その為最近は暇しているわけだ。
────あの
心の中で俺は繰り返す。
この広いゲームの中の世界ですら終わりはある。果のない
もしこの世界とは違う世界があるのならその世界でどちらが勝つかもわからないような戦いをしてみたいものだ。
「────なら、ぼくの世界に来てみないかい?」
突然後ろから声がした。
「誰だ!?」
俺は即座に腰の剣の柄に手を当てて後ろを振り向いた───が、そこには誰もいない。
「こっちだよ。」
また後ろだ。だがその方向を見ても誰もいない。そもそも周りに人の気配を感じられない。そして俺は何かに突き動かされたかのように上を見た。
「上か!?」
『あ、みつかっちゃった』
残念そうな笑みを浮かべながら少年は空中から俺の前に降りてきた。
「ぼくの世界だって?」
『そうだよ。世界そのものがファンタジー世界。レベルあり、魔法あり、剣の必技ありの…ね。』
「新作のRPGってことか?」
『違うよー。』
「じゃあなんだよ」
『ぼくの世界はゲームじゃないんだよ。』
目の前に居る少年は驚くべき事実を口にした。
「なんだって!?」
『だから、さっき君が抱いていた想像のとうりの世界、
『つまり、君の命は一つしかない。このゲームなんかよりもずっとハードなデスゲーム。デスペナルティは他でもない君自身の死ってわけ。そんな世界だから必然的にこの世界の人間よりぼくの世界の人間のほうが遥かに強い。』
俺はこの少年の言葉に高揚感を覚えた。
「へぇ……面白いじゃん」
俺は自然とそう呟いた。
目の前の少年は一瞬驚いた表情を見せたが納得したかのようにくすくすと笑った。
『……これ聞いてそんな反応したのは君がはじめてだよ』
少年は笑いながらそう言った。
「そうだろうな」
俺は得意気に言った。
きっとある……この少年の言う世界なら…きっと俺の思い描いた理想郷が…。
俺がそう心のなかで思ったとき誰かの声が聞こえた気がした。
《一緒に一番になろう!これが俺達の目標だ!!》
どこか懐かしい感じがした。聞いたことがある声だ。だが何かはわからない…でも、その世界に行けばわかる…となぜか確信が持てた。
「今…行くぜ、天──」
俺はあの日の少年に語りかけるようにそう言った。
そして大きく息を吸い、目の前の少年に俺の決意をぶつけた。
「行ってやろうじゃないか……あんたの言う世界に!!」
1話 決断 完
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