自覚

「んで、なんでこんな事になってんのよ」


私は落ち着いた彼氏に問いただす。こういう時いい女なら、良いんだよ何も聞かないよとか言うのかもしれねーけど、私はごめんだ。

その辺りはっきりしておきたい。


二人で話したいと、おばさんには外れて貰った。

家族での会話は後でしてもらう。解決したのが私だし、許可は下りた。


「・・・俺、お前に謝っても許されない事したんだ」

「ここ数日の無視か?」


それなら別に構わない。さっきの関節技でチャラだ。

だが、そうじゃ無かった。こいつの口から出たものは、そんな物じゃ無かった。


「俺、お前以外の女、抱いたんだ」


その言葉が、意外にもショックだった自分に驚いた。何かが心臓を貫くような、握りつぶすよな感覚。

声が出せなかった。質問を続けられなかった。何よりそれ以上聞きたくないと、思ってしまった。

そこでやっと、本当にやっと自覚した。私はいつの間にか、こいつの事を、ちゃんと好きになっていたんだって。


けど、私が黙っている事を、話を続けろと受け取った彼は、続けて内容を話す。

耳を塞ぎたくなるような内容を、彼は話した。

彼も話したくは無かっただろう。だから話したこと自体は許す。

私だって聞かなきゃいけない事だし、気にしなきゃいけない事だったから。


それに話を聞いて、自分も悪かったと、思ったから。

だから、彼を許した。一発思いっ切り殴って許した。



だから、けりを付けなきゃいけない。私は彼を許して、彼も私に許されたかったのだから。

全部清算して、私達は元の関係に戻るんだ。

いや、私がこいつを好きだと自覚した以上、もっと先に進む関係に。

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