大きな異常
最近、彼氏の様子がおかしい。
以前からおかしかったが、最近特におかしい。
私を避けている素振りが有る。
あれだけ私に近づいて来ていたのに、全然近づかなくなった。
遊びにも誘ってこないし、どうでも良い話すらも最近は振ってこない。
偶にイラッとするようなスキンシップの類も一切だ。
一体どうしたのか。あの時の一件をまだ引きずってるんだろうか。
流石にここまで長引くと、私でも気になってしまう。
「暫くほって置いたら?」
「それで良いのかねぇ」
友人に彼氏の事を相談すると、バッサリと切り捨てられた。
元々こいつは、あいつに対して辛辣な事をいう事が多かったが、ここまで冷たい返事は久々だ。
「珍しく、かなり冷たいな」
「だーってそりゃそうでしょ。あいつがあんたに好きって言って付き合ったはずなのに、この程度で距離を開けるとかさ」
確かに、私はあいつが私を好きだというから付き合った。そこに私も好きだからという理由は無い。
あくまであいつの想いに応えてやっただけだ。応えたところで私に不都合がないから。
只それだけの理由だ。
だから、今こうやって、あいつが接触してこない事が不愉快なのが自分でも不思議だ。
あいつのせいでこんな気分になるなんて、初めてかもしれない。
このままずっとほおっておけば、このイライラがずっと続くんだろうか。
それは勘弁願いたい。そろそろうっぷん晴らしに誰かに喧嘩を売りたいぐらい苛々してるのだから。
「まあ、時間が解決してくれるって」
「・・・めんどくさいなぁ」
少なくとも、こういう気持ちが出る程度には、あいつの事を好きになっていたんだろうか。
解らないな。正直まだ良く解らない。
だからとりあえずは、こいつの言う通り放置しておこう。
「まあそのうち声をかけてくるか」
「そーそー」
私はこの時の私の馬鹿さ加減を呪いたい。
この時行動していれば、事態はもっと素早く解決していた。
私があんな気持ちになる事なんて無かった。後悔しても、もう遅い。
私はこの時、何もしなかったんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます