少しの異常

あの日から、彼氏とは少し関係がぎくしゃくしている。

と言うか、あいつが勝手に気まずそうにしている。私はいつも通りだ。面倒くさいな。


「ねえ、最近様子おかしくない?」


友人が私達にそう言ってくる位、解り易い状態だ。

いや、一応こいつは一番近しい友人だし、気が付いて当然か。


「あー、ちょっとあってね」

「どうしたの?」


あいつの為に言葉を濁したのだけど、気にせず突っ込んできやがった。

どうしようかな、言ったらあんまり良くない気もするけど。まあいいや面倒くさい


「この間、あいつとホテル行ったのよ」

「―――――え?」


私の言葉を聞いた驚きの声は、随分と間があった。

けど私は気にせず言葉を続ける。


「けど私、布団が気持ちよくて寝ちゃってさ。結局何もせず出たのよ。それ以来こんな感じ」

「そ、そうなんだ」


珍しいな。こいつにしては歯切れが悪い。

驚いたにしても、まだずけずけと来るのがこいつだ。


「ま、まあ、そういう事なら仕方ないよね。それにしても寝ちゃうのはまずくない?」


気を取り直したかのようにいって来るこいつに、若干の違和感を感じつつも答える。


「それは私も悪いと思ってる」

「まあでも、手を出さなかったあいつもあいつだけどね」


一応の罪悪感が有るという私の言葉に、あいつも悪いよと言う友人。

むしろあいつが誘って来たのだから、起こせよと少し思っていた所も有るので、そこには同意だ。


「で、また今度リベンジするの?」

「さあ、ねえ。このままだとどうなる事やら」

「・・・ふーん」


私はこの時、こいつのこの態度を深く考えなかった。

その時の私には、その程度の事だったから。

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