第7話 京阪電車 京橋爆破

「ご乗車、ありがとうございました。出町柳、出町柳、終点です。お出口は...」

次の次の次の...とりあえず数日後。いくつかミッションを成功させて今日は13個目のミッションだ。淀屋橋から約1時間。俺と祇園はミッションの為に京阪の血塗れの豪華な二階建ての特急に乗って出町柳駅に来た。特急から降りると電車の電源が落ちて車内も暗くなってパンタグラフが落ちた。へぇ...こんな感じに落ちるんだ...と思っていると怪物が襲い掛かって来た。それを刀で斬り払う。今回のミッションは少し荒い...いや、荒すぎる。だって指示が怖いもん。「京阪出町柳駅に鉄砲を取りに行け」って書いてるんだよ?もう怖いじゃん。電車から降りて反対側の電車の先頭車の方に行くと一番前のドアの横に鉄砲が置かれていた。これは...AK-47?これ確かベトナム戦争とかで使われたんだよな...あー物騒だ...て言うか使えんのこれ?それに何でこれがここにあんの?日本使っちゃダメなんだよ?って言ったって無駄か。とりあえず銃を装備してその電車に乗る。

「車番は...3056...とりあえず、宜しくな」

「何に挨拶してんねん」

「祇園もしいよ。命守ってくれへんで?」

「...宜しく」

そう電車に挨拶するとドアが閉まって電車が動く。ニーーーイイィ...と良い感じの加速音が鳴る。するとアナウンスが流れる。

「本日は京阪電車をご利用いただきまして、ありがとうございます。このミッションは反対側の線路を走る電車とどちらが速く京橋駅に着くかを対決します。ルールは簡単、この電車で京橋駅に一番に着けばいいのです。ただし、以下の事に気を付けて下さい。怪物が電車に侵入してくる事がありますので、鉄砲で撃ち殺すなりして下さい。相手の電車は自動運転です、操縦は出来ません。85km/h以下で20秒以上放置したのを2回繰り返した瞬間起爆装置によって電車が爆発します。爆弾は半径2km圏内を吹き飛ばします。途中で爆発、脱線、対決に負けた場合、ミッションは失敗となり、処刑されます。今から電車の自動運転を解除します。ご健闘を祈ります」

おいおい...レースかよ...反対側の線路ってまだ何も来てない...ん?待てよ?

「なぁ、自動運転解除って電車の加速無くなるんよな?」

「うん...って、今何キロ?」

「90km/hや、まだ大丈...あれ?」

祇園が操縦室のドアを開けようとしてるが開かないあ、そっか毎回毎回運転士のおっちゃん鍵掛けてたな...ってやべぇじゃん!!!ドアを強く蹴って急いで開ける。電車は七条駅を通過して上り坂に差し掛かる。まずい、減速する。こうなったら...俺は鉄砲を鍵の部分に向けて構える。

「祇園...耳伏せてて...」

「はいよ!!」

初めてで怖いけど.....行けっ...!!覚悟してトリガーを引く。

...ドドドォ...!!!!

な、なんだこの...え!?少し引いただけで弾が3発連続で出た。1発のはずが3発だった。鍵は弾に吹き飛ばされてぶっ壊れた。何とか扉が開いて急いで祇園が操縦席に座ってハンドルを下げる。速度計を見ると81km/hだった。京阪割と加速いいからなんとかスグ90に戻った。

「賢治は見張っとって。私が運転するから」

「運転出来るんやな」

「電車でGOやっとったもん」

祇園がそう自信満々に言う。しかし俺はある物が目に付いた。

「お姉さん」

「はい」

「なんか「60」って書いてあったのが見えたんですけどあれって制限60って事じゃないんでしょうか」

「......」

俺が指摘すると祇園は黙る。するとハンドルを握る手がプルプル震え始めた。

「...ほ、ほんまや......せやね......」

「...大丈夫なん?」

. . . 。

「分からへん」

「へ!?」

祇園の顔は絶望しかったような顔をしている。すると電車が急カーブに差し掛かって大きく揺れる。俺は倒れてドアにぶつかった。

「これ大丈夫なん!?」

「分からん...分からんけど京阪線路幅広いからどうにか...なるはず...!!!」

なんとか急カーブを凌いだ。

「賢治、来たで」

「え?」

丹波橋駅を通過してチラッと反対側の線路を見るとさっき乗っていた豪華な二階建ての電車が走っている。つまりこれが...相手って事か。中には怪物が居る。すると車両の後ろ側の窓が割れて隣の電車から怪物次々と入ってきた。祇園が操縦席のドアを閉めて中にあったカバンでロックする。

「祇園...頼んだで!!」

「...任して!!!」

「グワァアアア!!!」

怪物は俺と祇園目掛けて走って来る。よし...行くぞ!!!刀を構えて怪物が走って来る怪物を斬っていく。くそ...多い...。

「賢治!!揺れるで!!」

「え?...うわっ!?」

祇園の声と同時に電車がまた大きく揺れた。電車は中書島駅を通過している。そう、この中書島駅は急カーブなのだ。その隙に残っていた怪物が祇園の方に走って操縦席のドアを開けようとする。すると祇園が立ち上がって鉄砲を構え始めた。え、ちょ、ま、待っ...ドドドドドっ!!!!

祇園が怪物を全員撃ち殺した...ってそこに感激してる場合じゃねぇよ!!

「当たったらどなえすんねん危ないやろが!!!」

「悪い悪い後でコーラ奢ったるから許して」

「...はいよ」

俺はどんどんこっちの電車に入ってくる怪物を倒して行く。すると祇園が俺の横に来た。

「今90km/h定速にしたから。私も手伝うわ」

「それは有難い」

怪物はまだ大量に居る。電車は淀駅の少し手前を走っている。...よし、とにかく怪物をぶっ殺すか。

「祇園、この電車を任せた。俺は横の電車の怪物を全員倒してくるわ」

「は、は!?ホンマに言うてんの!?」

「でないと運転を邪魔されるだけやで?」

「...分かった...気いつけや?」

「はいよ」

俺は車両の後ろ側に行って怪物の入口の窓の前に立つ。そして後ろに下がって前を見る。よし...今なら同じ速度...同じ位置...行ける!!勢い良く走って窓に頭を突っ込んで飛び出す。俺はもうどうにでもなれと思いながら目を閉じる。すると頭に強い衝撃が走っjた。目を開けるとなんと隣の電車の中にいた...って喜んでる場合じゃ無い。中には怪物が大量に居る。飛びつこうとしてくる怪物を次々と殴って操縦室の方へと避難して一気に走って来る怪物をぶった斬る。ふぅ...最高だ。そして次の車両に行って怪物をどんどん殺して行く。

一方祇園は。

死ぇえええねっ...!!ふぅ...やっと終わった...。入って来た怪物をすべて倒した。電車は淀を通過した。後は賢治待つだけね...ん?真ん中の方にある座席を見ると溶けたような浅い穴がある。ポタ...ポタ.....。上から雫が垂れている。天井を見上げると......小さな子供が天井にへばりつきながら私をじっと見ていた。皮膚は普通の肌色、外見も特に変化が無い。ただ...その子の口から出てる唾液が床を溶かしている。つまりこの子も...怪物って事か。

「グァアアア......」

その怪物が私に威嚇し始めた。...行くか。私は刀を構えた時だった。その怪物が地面に落ちてゆっくりと立つ。そして斬りかかろうした...えっ!?素早く避けられた。そして壁から私目掛けて突進してくる。

ゴっ...!!!

うっ......!?その怪物が私の腹に子供とは思えないほどの強さで殴って来た。痛い...こんなに強く殴られたのは初めてだ。するとその怪物は背中を蹴ろうとして私は寸前で避ける。壁のあちこちがこの怪物の唾液によって溶け始めている。反撃に出ようと刀を振り下ろすが動きが素早いため当たらない。1度後ろの車両に避難する。すると怪物は追いかけてこずにその場で座り始めた。...鉄砲ならどうかな...ただ...当たるかどうかやな.....ん?前を見ると席の上に子供のカバンがあった。中を見ると救急車のミニカーが入っていた。...反応するかな?前の妖怪の時怪物とか化け物になっても人の遺伝子?は残ってるってのが分かったし...よ、ようし...やってみよっと!!失敗しても...ど、どうにかなる!!多分!!そう思って前の車両にミニカーを投げる。...頼む...遊んで...!!!怪物がミニカーを手に取る。すると本当に手で前後に動かしながら遊び始めた。私は心の中でガッツポーズをしながら鉄砲を構える。遊んでる途中だけど...ごめんね!!!

ドドドドンっ...!!!!

怪物の頭に弾を4発ぶちまけた。怪物の所に行くと動かなくなっていた。子供相手にやり過ぎた...いや、妥当。私にここまで痛い思いをさせた罰って事で.....ん?怪物がスーっと膨らみ始めた。え、ちょ、これって...いやいや待て待て待てまドンっ...!!!!突然その怪物が爆発した。血が車内に飛び付く。少しすると賢治が窓から飛び入って来た。

「ただいまー横の電車怪物全部やってきた...」

「おかえり」

「あ、あの...祇園...その...」

「ん?どなえしたん?」

「その...制服...」

「ん............え」

賢治の言った通りに制服を見る。するとさっきの怪物の唾液と爆発で飛んだ血によって制服が溶けて中がほぼ見えている。スカートもかなり溶けて赤の下着が見えている。

「...あ、あんまジロジロ見んとって......」

「う、うん...」

そして祇園は操縦席に戻って電車を運転する。電車は寝屋川市駅と萱島駅の間を走っている。...ダメダメ、見ちゃダメ。祇園に殺される。横の電車とは車両の半分だけ勝っている。すると祇園が萱島駅を通過している時にフル加速させ始めた。

「こっから複々線区間で京阪が本気出せる区間やからフルで飛ばすで!!!」

110km/hで大和田を通過しようとした時だった。ん...あれって...!?

「...祇園!!伏せろ!!」

「えっ!?ちょっ!?」

俺は祇園を席から下ろして床に伏せた。駅に鉄砲を持った怪物達が俺の電車めがけて発砲してきた。何とか寸前で伏せて助かった。そのまま電車を飛ばして行く。古川橋、門真市、西三荘と弾を受けながら通過して行く。隣の電車とは少しこっちがリードしている。そして守口市駅を通過する直前だった。...ん?何だあれ?左側に小さな丸い球体が目に入る。そして電車は守口市駅の最初の左カーブに差し掛かった。するとその球体が車両に突進してきた。車両は右側に大きく傾く。

「やばいやばいやばいやばいって!!!」

「うおおっ!?」

祇園が慌ててブレーキを掛ける。何とか脱線は免れた。しかしその球体は構わず突進する。反対側の電車は先に走って行く。駅を通過してまた加速し始める電車。前を見るとまた左カーブだ。...あのくらいの大きさなら...よし。俺は腰にあったワイヤーガンを割れた窓からその球体に向ける。球体めがけて撃つとガシッ!!っと先っちょのフックが球体を掴む。そしてこっちに引っ張る...あれ?引かれない...うわっ!?逆に俺が引っ張られ始めた。すると祇園が俺の脚を掴んで中に引っ張る。気が付けば上半身が車外に出ていた。

「うおぉおおっ...!!!」

「頑張ってっ...賢治ぃ...!!!!」

全力で引っ張るとこっちの力が勝ち始めた。そして窓の近くまで引き寄せて祇園が片手で鉄砲を持ってその球体に撃ち付ける。弾が当たった瞬間俺と祇園は反動で反対側の壁に打ち付けられた。

「ナイス祇園」

「こちらこそ」

お互い手を繋いで立ち上がる。気が付けば相手を先頭車の半分のくらい差を付けていた。...ん?私は運転しながらおかしな事に気が付いた。この電車は85km/h以下で20秒以上走ると爆発するんだよね?なのに何で最初の加速の時に爆発しなかったの?あの自動放送が流れてた途中の速度は80km/hだった.........あれ?今、野江駅を通過した。隣の電車を見ると後ろの方へと下がって行っている。...おかしい...今加速してないのに何で下がってるの...?電車は京橋の手前の坂の中間を登っている。

「賢治、後ろに逃げて!!」

「えっ!?」

私は大急ぎで非常ブレーキを掛ける。そして賢治の手を掴んで走って後ろの車両に逃げる。そして6両目の真ん中を通ろうとした時だった。

ドゴっ...!!!!

うわっ!?前の方で強い音がした。それと同時に車両の速度が急に落ちて私と賢治は後ろに倒れる。...え?も、もう先頭車が...!?どんどん音が近付いてくる。すると賢治が私を抱いて横の席の下に隠れる。

...ドゴォオオオン!!!!!!

隠れてすぐにこの車両も大きな音を立てて脱線した。なんとか転倒は無かった。

「...だ、大丈夫か?祇園」

「うん...大丈夫」

...ん?賢治が顔を赤くして私をじっと見てる。顔じゃなくて...っ!!!

「な、何見とんじゃ変態!!!」

「げっ!?わ、悪い悪い!!!」

お互いの無事を確認し合っていた時だった。

「あーあ、後少しでお前を殺す事出来たのに...」

...!?自動放送が急に流れ始めた。

「はぁ...後少しだったのに...まぁ、今からがお楽しみの時間だからいっか...さようなら」

そう言って恐ろしい自動放送が終わった。...なんかやばい事が起きそうだ...そう思って連結部分から車両の外へと出る。ありがとう3056fさんよ。

ドォオンっ...!!!!!

後ろの方で牛10頭分の何かが落ちる音と架線が切れたり架線柱が倒れる音がした。それと同時に高架が揺れる。ゆっく〜りと怖いものを見る感じで後ろを見るとお前どこから出てきたの?って思うくらい大きなトカゲのような怪物が居た。それに尻尾はトカゲの3倍くらいデカくて人の顔がある。あの怪物がトカゲに寄生したのか...ほほう。振動したスマホを見ると「前にいる怪物を今までのアナウンスを思い出して倒せ」と表示している。今までの...?は、はい?そう困惑しているとトカゲが俺と祇園を認識したからかじっと目を尖らせる。

「な、何や...と、トカゲ...?」

「でっか...こ、コモドドラゴン...!?」

「ギャアアアアアア!!!!」

トカゲが大きく吠えて尻尾をこっちに振り回して来た。寸前でバク転して避けるが尻尾は横の建物を崩壊させる程の破壊力だった。おいおいこんなの勝てる訳...ゲームバランス悪過ぎだろ...このゲーム。そう思いながら祇園と一緒に走ってトカゲとぶつかる。俺は右側、祇園は左側の建物に向かってワイヤーガンを撃って高く飛ぶ。

「はぁあああああ!!!」

一緒に高く飛んで刀を下に向けてトカゲの頭にぶっ刺す。

「ギャアアアアアア!!!!」

トカゲは身体を震わせて叫ぶ。やったか...?と思ったがトカゲに変わった様子は無く血も出ていない。

「まさか回復してる...!?」

「せや...傷口が回復しよる...」

確かに刺したところが塞がって回復している。くそ...これは女の子並みに攻略が難しそうだ...。祇園?祇園は何とか行けそうな気がする、そう考えながら俺と祇園はトカゲに斬り掛かる。腹、目、顔を斬っても何も変わらない。するとまた尻尾を振ってきた。

バシっ...!!!

「うっ...!!!」

「祇園!?」

体育館の床に叩きつけられるような音がした。振られた尻尾が祇園の背中にぶち当たった音だ。祇園は建物のガラスを突き破って奥の方へと吹っ飛んだ。仕方なく俺は続けてトカゲに斬り掛かる。

...うっ...あっ...いったたたぁ...。気が付けば私はエディオンの店内に居た。良かったぁ...ソファーがあって...これ無かったら怪我はもっと酷かったはず...。外を見ると京阪の高架が見える。あそこから私は吹き飛ばされたんか...ん?端っこにさっきまで競走をしていたお上品な電車がある。え...止まってる...?...待って...最初のアナウンス...なんて言ってたっけ...

「ただし、以下の事に気を付けて下さい。......85km/h以下で20秒以上放置したのを2回繰り返した瞬間電車が爆発します............」

...はっ!!!そうか!!!全てが繋がった。爆発するのは...私と賢治の乗ってた電車じゃ無くてこの電車って事か...!!!やっと謎が解けた。端からこのミッションはこの場所でこのトカゲと戦わせる事を前提にしているという事だ。あの最初のアナウンスで85km/h以下で「走行」じゃなくて「放置」を2回繰り返すと爆発すると言っている。しかしこの放置と言うのは停止状態では無く「速度制御の放置」だという事。私と賢治が乗ってた電車は2回85km/h以下で「放置」している。1回目はその電車に乗る時だ。私達がこの電車に乗る時から電源は付いていた。2回目は七条駅を通過した後の地上に出る坂で81km/hの状態で加速せずに20秒以上走行した計2回。この時点で爆発しているはずだ。じゃあなぜあの電車は爆発しないのか?それは自動運転だから。自動運転で85km/h以下にならないようにプログラムされているからだ。ただあの電車の爆発カウントは1はある。それは私達が先に出町柳を出た後に自動で電源が付いて20秒以上放置したのが1回目。その次に放置すると爆発するので野江駅を通過した途端に電車の電源を消すように設定されていた。電源を消せば爆発カウントが2に増えなくなるからだ。つまりこのミッションはレースに負けようが勝とうが関係無い。負ける事と85km/h以下で爆発すると言う条件下のせいで心理的に焦らせて京橋駅手前のカーブで電車を脱線させてあのトカゲと戦わせると言うプログラムだったという事。つまり...あのトカゲを倒すためにあの電車を使うのだ。はぁ...手のひらで遊ばれるのは嫌いだな...。この推測が正しければ...今からする事は電車を起動させて2回目の20秒以上放置を行う事、その間にトカゲを電車の近くに誘導させて爆発で倒す。ただしタイムリミットは20秒...よし、絶対に成功させてみせる。身体を起こして店から出てワイヤーガンを上に向ける。...行ける。絶対に行ける。私の為にも...賢治のためにも...一緒にこのゲームを終わりにするために...!!!そう思いながらトリガーを引いてワイヤー撃つ。先のフックが引っかかったのを確認してさらにトリガーを引いて巻き上げて高架へと到達する。ふぅ...もうこのワイヤーガンも手馴れた。そしてトカゲと戦ってる賢治の方に身体を向ける。

「賢治ーー!!!!こっちにトカゲ誘導して!!!!ええ事思いついてん!!!」

「えっ!?...えっとー...」

「何モタモタしとんじゃカスぅ!!!!ええからこっちに連れてこんかい!!!!」

「わわわっ!?わ、わわわわわわわわ、分かった!!!秒で持っていったるわ!!!」

そう言って賢治がこっちにトカゲを誘導させ始めた。私はちょっと賢治に言い過ぎたのを後悔しながら急いで電車に乗って電源を入れる。改めて電車の起動方法知っててよかった。残り20秒...トカゲも来てる...よし、後は逃げるだけ!!電車から出て賢治と一緒に京橋駅の方に逃げる。その時だった。

「なぁ、祇園...」

「何?」

「俺の記憶が正しかったらさ...爆弾って半径2km圏内吹き飛ばすはずなんよ」

「うん。それがどなえ.........」

あ、そうか。今居るところ...半径500mも無い...........。

「それって...」

「...そういう事や!!!!」

「きゃっ!?」

賢治が私を抱いてワイヤーガンを斜め上に撃って京阪モールの屋上に撃つ。よしこのまま...。


ピーーーーー。


ドゴォォォォオォォオオォォオオオォォオオンっ!!!!!!!!!!!!


...なんだと。とうとう電車が爆発した。俺は丁度ワイヤーガンのトリガーを引いた所だった。そこにものすごい爆風が押し寄せる。

「ちょ、うわわわわわ!!!!」

やばいやばいやばいやばいやばい。爆風に強く押されて京阪モールのガラスを突き破り店内に突っ込んだ。周りは爆風で看板やガラスが吹っ飛んだり潰れた建物も見えた。...凄い...ジェットコースターの5倍怖かった...。

「...今日で2回ガラス突き破るってどういう事やねん...ほんま」

「いい経験や」

「ふっ、何でもそれで済むと思うなよ」

外を見ると全体が家事で焼けたような跡が残っている。

するとスマホが振動する。そこには「ミッション成功」と書かれていた。...終わった......!!!!それを見てお互い拳を当ててお互いニッコリと笑い合う。


そして夜の20時。

「お疲れぇ...」

「お疲れ様ぁ...」

先に風呂を済ませて祇園と今日のミッションお疲れ様でした会を近くのホテルで開く。近くのイオンから買った...いや、パクったカップ麺や賞味期限ギリギリのパンやおにぎりとかを食べながらお互い助け合ったのを讃え合う。ちなみに祇園は風呂に上がってから新しい制服に着替えやがった。

「いやー...疲れたなぁ」

「今日と明日は休もっか」

こんな感じで祇園さんとワイワイ楽しんでいた。


...何楽しそうに話してるんだよ......。ふっ...まぁいい...覚えておけ...必ずお前を殺す。


...ん?今誰か立ってたような...?少し離れたビルの屋上を見上げても誰も居ない。あれ、気のせいかな?

「どなえしたん?」

「いやぁ...誰かがこっち見とった気がして...」

「この世に絶対は無いって言う考えの私でも絶対気の所為やって思う」

「めっちゃ矛盾してる気がするんだけど」

そして数分経ってからすべて食べ終わって歯を磨いて電気を消してからお互いベッドに寝転ぶ。スマホを見るともう人口が100万人にまで減っている。それに交通情報では「京阪本線、淀屋橋駅~守口市駅間1週間運休」と出ている。絶対今日のやつじゃん...。あぁ...眠くなってきたな...。

「もう寝る?」

俺がそう聞くと祇園が細い目で俺を見る。

「何?疲れてるのを見計らって変な事するつもり?」

「は、はぁ!?」

あのさぁ...祇園よ...俺どう反応すればいいんだよ...。男性陣ならめちゃめちゃ困るのが分かると思う。

「怖いわー(棒)そうやって私にイタズラを...あー怖い怖い(棒)」

胸を腕で隠して挑発的な顔で上半身を起こして俺を見る。俺は案の定返答に困る。困りまくる。すると突然祇園が笑う。

「なーんて、ちょっとからかってみただけ」

「な、何やねん...やめてくれや...」

むぅ!!なんだよこいつぅ!!俺をなんだと思ってんだよ!!あ、18歳童貞か。割りと気にしてるんだけどなこれ。

「じゃ、おやすみ。明日も頑張ろっ」

「お、おう...おやすみ」

何か...段々祇園が馴れ馴れしくなってきたな...まぁいいけど。むしろその方がいいわ、うむ。そう思いながら目を閉じる。

次の日。

ふと目を覚ました。ぬおぉ...眩しっ...もう朝か...。時計を見ると7時だった。祇園はまだ寝ている...って、なぬっ!?祇園との顔の距離が物凄く近かった。理由は簡単だ...祇園が俺を抱いて寝てるからだ。俺の手も祇園の背中に回ってる。え、嘘だろ。お互い抱き合いながら寝てたの......?そう言えば最近起きたら祇園と手を繋がってる率が本当に高い。確か抱き合ってんのは手放したくないから...って...聞いたことが......。いや...いやいやいや!!!な、な訳!!そんなの皆そうって訳じゃないし!!個人差ある!!うむ!!違う違う!!そんなの...無い無い。と、とりあえず離れるか...。祇園から少し離れた直後だった。

「んっ...おはよ...」

えっ!?。嘘、お、お、起きたの!?

「お、おはよ......」

「ふぁああ...」

良かった...本人気付いてないみたい。にしても何だったんだろ...?疑問を残したままミッションへと向かう。










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