第2話 新今宮 絶望
俺はとぼとぼと歩いていた。走っていたつもりが気が付けば歩いていた。新今宮の駅辺りに着くと怪物は居なかった。路地裏に入って一休みする俺。気が付けば時刻は23時になっていた。...あっ、今俺のいるのって新今宮だよな?俺はある事に気が付いた。俺には
ガチャっ...。くるっと普通に回った。え...鍵を掛けてない...!?だとすると既に...。考えちゃダメだと自分に言い聞かせてドアを開ける。...俺は絶望した。なぜなら...床に血が散らばっているからだ。恐る恐る廊下を歩く。誰もいない。血だけがある。そしてリビングに着いた。.....目を潰したくなった。目の前には腹を抉られたおばあちゃんと何度も身体を刺されたおじいちゃんが倒れていた。
母さん...!?
何故か唐突に...あの時の母さんの顔が浮かんだ。
...あれ?茜は...?と思っているとテーブルの下からすすり泣く声が聞こえてきた。震えながら下を見るとそこには茜が隠れていた。俺の視線に気付いたのか、茜こっちを見る。
「...お、お兄ちゃん...?」
「茜...?大丈夫か?怪我は無い?」
そう問いかけると茜がテーブルから出て俺に近づく。
「お兄ちゃん...助けて...」
「え...?」
茜がどんどん俺に迫って来る。しかし俺は見てしまった。茜の右腕が無いことに。
「お兄ちゃん...早く...こっちに来てや...グァッ...アァっ...こっちに...!!!」
「...待て...来るな...来るな!!!」
「...ウゥヴァァアアアアアア!!!!!」
「うわぁああああああっ!!!!」
変色、変形した茜がこっちに飛びつこうとしてきた。
ゴっ...!!
無意識に右手が出て幸い拳が顔に当たった。
「ヴゥ...お兄ぃちゃっ...!!!!」
「ひぃっ...!?」
...賢治っ...逃げろ...ぐはぁっ...!?
「うっ...うわぁああっ!!!!!!」
走って家から飛び出てとにかく逃げる俺。
...............。
...嘘だ。
嘘だ.....嘘だ...嘘だ嘘だ嘘だっ...!!気が付くと難波のコンビニのトイレに隠れていた。
身体の震えが止まらない。
お兄ちゃん...早く...こっちに来てや...グァッ...アァっ...こっちに...!!!
ひっ...!?
まだ死にたくない。まだ死にたくない。まだ死にたくない。まだ死にたくない...。まだ死にたくない......。まだ死にたく........。
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