第12話刺客
スオウとクエンがクリムゾンイーターを誘い出す為に、クエンの探知能力を駆使しながら街中を回り続け三日が過ぎた。
しかし、確たる成果が無いまま本日も街中の捜索をしていた。
「‥‥‥ねぇ、もうこの街にいないって事は無いかな?」
二人を離れた位置から見ているティナが、他の三人に話し掛けた。
「私もそんな気がしてきたわ、ティナちゃん」
ジュディが疲れた表情で言う。
「なぁ、今日も駄目だったらあの二人に取り敢えず相談しないか? 流石に」
「私わたくしも、少しのんびり出来る日が欲しいです」
アルマとロナも弱音を吐いた。
「ですね‥‥‥成果が出なければ夜にでも話し合いましょうか」
建物の影で、四人がこそこそしている。
周囲の通行人達は、そんな四人の怪しい行動に声を潜めて早足で遠ざかっていた。
「‥‥‥見付けたぞ、アイアンメイデン、焔帝」
いきなり背後から声が掛けられる。
ジュディとアルマは顔色を変えて振り返り、ティナとロナは不思議そうな顔で振り替える。
「何で、その呼び名を‥‥‥」
「まさか‥‥‥」
驚愕する二人に向け、呼び掛けた男コルセイ=リングスは言った。
「帝国の反逆者、お前等には殺害許可が出ている、ここで‥‥‥」
そこまで言うとコルセイは懐からクリスタルを取り出した。
クリスタルは光りながら、低い起動音を鳴らせた。
「死ね」
その言葉と共に、建物の二階から二メートルは越えようかという程の巨体が二つ、地面へと降り立った。
「あ! スオウさんとクエン君!」
丁度、そのタイミングでスオウとクエンが作戦で打合せていた西に向けて走り出した。
二人の後ろを人影が二つ追いかけている。
「なんてタイミングっ!?」
ジュディが唸る。
「ロナ! ティナ! コイツの狙いはアタシ達だ! アンタ達は向こうを追いな!」
アルマはそう言うと、ジュディに目配せをした。
「えっ? でも‥‥‥」
「良いから! ティナちゃん行って!」
ジュディはティナにそう言い、コルセイに向き直して怒鳴る。
「帝国の
言うが早いか、ジュディとアルマは東へと向け走り出す。
「フッ、逃げられると思うな‥‥‥22、23、追うぞ」
コルセイが巨大な人形の鉄塊達に号令をかける。
「くっ!?」
「ティナさん! 今はアチラを追いましょう!」
「でもっ!」
「恐らくですが、アルマさん達よりもスオウさん、クエンさんを追いかけて行った二人の方が
慌てるティナを落ち着いて諭すロナ。
「なら、私達も分かれて‥‥‥」
「‥‥‥アルマさんとジュディさんはかなりの実力者です、あの二人の判断に従いましょう」
ロナの言う通り、普段は怠け癖があるジュディだが強さにおいて凄まじい力がある事はティナも知っていた。
面識の浅いロナが、ジュディの実力を把握している事に若干驚きつつ、ティナはその言葉に決断する。
「‥‥‥そうですね、わかりました‥‥‥」
「では‥‥‥」
「ええ、早く片付けて応援に行かないとですね、ロナさん!」
ティナとロナはクリムゾンイーター達を追って走り出した。
ーーーーー
ジュディとアルマは、フューゾルの街を抜けアルシーナ神聖王国へと続く街道を少し外れた、開けた草原まで逃げていた。
「ジュディ、どうする?」
「ここならいいわ、迎え撃ちましょう」
逃げることをやめ、足を止める。
後ろから追ってきていたコルセイと鉄塊二体、そして何処からか合流してきた三人の男女が離れた位置で足を止めた。
「‥‥‥諦めたか?」
「まさか、丁度良い場所まで来たから叩き潰してやろうかって止まったんだよ、戌っころ」
コルセイの言葉にアルマが言い返す。
「‥‥‥元十二使徒か知らんが、過去の人間が偉そうな口を聞く」
コルセイが口角を上げシニカルに笑う。
「強気ねぇ、『シュバルツカッツェ』とかってトコのコルセイ=リングス‥‥‥だっけ? 二軍の人間が偉そうな口を聞くわね」
コルセイの言葉尻を使い、ジュディが皮肉を返す。
「五月蝿うるさいわね! 帝国の女狐が!」
「くだらん挑発に乗るな、ミーア」
コルセイがミーアと呼ばれた女性を
「その二軍に殺されるんだよ、お前等はな」
コルセイがそう言うと、二体の鉄塊が前に出る。
「ギル、バスク、ミーア、ナンバーズの試運転だ、お前等も下がって見ていろ」
コルセイはナンバーズと呼ばれた鉄塊の後ろへと下がる。
「性能テストだ、ゾンダークへの土産話も欲しいからな」
そう言ってシニカルスマイルを浮かべた。
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