第2話
いってらっしゃいと幼馴染を見送って郵便受けに新聞を取りに行く。途中同じマンションの奥様に会ったので挨拶して、来た道を戻る。広告が大量に挟まれた新聞は俺にとってさほど重要ではない。
では何故契約しているのかと言われれば…何故だっけ?
俺なんで新聞契約してるんだろう?
まあいっか。
優雅にホットコーヒーを飲みながらPCに向かい合い仕事を再開させる。
小説家、なんて聞こえは良いけれどまだまだ駆け出しのひよっこ。なんならまだ卵から出れていない気さえする。とは言ってもこの間有り難く頂いた短期連載を終えて今は少し余裕のある時期。書き溜め出来る時にしておこう。
夜通しPCの画面を見ていたせいで、目が疲れている。目頭をきゅっと抑え目を瞑るとふと先程の幼馴染の様子を思い出して笑みが溢れてしまう。
幼馴染は図体と態度は大きいけれど、たいそうなヘタレである。とっくに俺に対する好意に気付いてはいるが二、三年は気付かない振りを続けている。同性という事に偏見があるからではなく、むしろ俺の好きな人は幼馴染だ。後にも先にもあいつしかあり得ないと思っている程だ。
でも俺だって大人で、男だ。仕事も安定していない内から恋にうつつを抜かすなんて言語道断だ、と燃え滾った若かりし頃。
二、三年経った今となっては、あいつまだ隠せてると思ってんのか、アホなのか、と。
社会人になって、中学生以来会って居なかった幼馴染と再会した時は本当に運命すら感じた。けれど、あいつは中学生の頃と比べてヘタレ具合が酷くなっているように感じた。
まあ人それぞれ色々あるからなぁ。今度聞いてみようかなぁ。やめとこう。
あー。あいつ早く帰ってこないかなぁ。
…仕事しよう。
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