第四話「死せる孔明生ける仲達を走らす」

 数日後TwitterのDM通知。


『すいません、気がつくの遅れてしまいました( ;∀;)私は北海道に住んでます』


 飛び回って走り回りたい衝動…走り回っていたら巨大な壁にぶち当たったような絶望感、二つがせめぎ合う。ああ、そんな遠距離に住んでいるのか。もうだめだ。さすがにさすがに大好きでも、北海道との遠距離恋愛は難しすぎる。彼女のTwitterは再び動き始め日常を呟いている。

「はァ、」

彼女のアイコンを見るたびにため息が出る。北海道まで会いに行ってしまおうか。壮大な恋愛ドラマを演じてみてしまおうか。もしかしたら僕は向こうに骨を埋めることを決意するかもしれない。


北国の女性の白い肌。雪のようなそれを想像する。ああ、僕の火照った心に雪よ降れ。


『実はちょうどね~、北海道に旅行に行く予定だったんですよ! 奇遇ですね! 逢いに行っちゃったりして( ̄▽ ̄)』


会いに行くという字をあえて、逢いに行く、としたところに僕の想いを込めた。決して下心ではない。


またしばらくTwitterが止まった。間違いない。僕のせいで…。そして数日後にDMの返信があった。

『あの~、すいません。北海道って言ったのは嘘です。冗談というかなんというか、すみません』


じょ、冗談!? 何の冗談だ。北海道民に謝れ! 俺まで北海道旅行の嘘ついてしまったじゃないか。あの女は自分の素性を隠そうとしただけではないか。この温度差はなんなんだ。

『私も東京に住んでいるんです。なんか、近かったんでビックリして舞い上がって嘘ついちゃいましたテヘペロ』

なんだ、なんなんだ。この文章の意味は? 舞い上がったってことは嬉しかったってことじゃないか。これは脈ありじゃないか。いや、ビックリして嘘つく、ってなんだ。意味わからん。テヘペロ古いし。いや、だいたいこの人いくつなんだ? 脈ありも何も俺は全くやつのことを知らないんだぞ。脈ありどころか向こうはただの釣りや機械かもしれない、本当の意味で脈が通っているかもわからないんだぞ。でも、なんだこの幸福感は。自分自身の機構に腹が立つ。死せる孔明生ける仲達を走らす、状態。単なるアイコンに一目ぼれして(しかも目元から下)俺はいったいなにをしているんだ。


よし、もう腹が立つから会って、真実を暴いてやる。

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