第二話「俺は恋をした」
彼女(であろうことを望む)のTwitterの呟きは毎日行われていて鍵を外された僕だけが覗くことができる。なにげない日常の呟きは普通の女子のようである。まず女であるかどうかだけでも怪しい。そして、いや、でも変だ。フォロワーが僕しかいない時点でおかしいし、今まで呟いていたこと自体も変だ。つまりこのアイコンは釣りじゃない、怪しげなものへの誘導でもないのではないか。ただただ普通に独り言をネットに呟いている健気な行為に他ならないのではないだろうか。
よし、リプライ(相手の呟きについて呟いてやりとりをする)してみよう。アキバ系の言葉でいうところの「心がぴょんぴょんしている」状態なのが自分ではっきりわかる。
『あ~眠い』→『僕も眠いです』
…特に返事はないようだ。…別にいいし。別になんの期待もしてないし。
気が付くと彼女の呟きを追っていた。さっきリプライしてしまった、ということは彼女は僕が呟きをみている、ということを感知されてしまった、ということだ。…だからなに? 別にいいし、ブロックしてくれたらそれでいい。首筋黒子娘がなにするものぞ。
画像もいくつか上げているようだ。おいしそうなオムライスを映している。オムライス越しの彼女の画像はやっぱり目元より下しか映っていないが首筋の黒子と二の腕が少し写っている。どうやらアイコンだけどこかから拾ってきた画像ではなく、中の人(本人)である可能性が濃厚のようだ。そしてほっそりした二の腕。だからといって黒子娘ごときになにができるというものか。私は騙されない。君が女性であるという確証はない、実在する確証すらない、
次の日の日中、電車の中スマートフォンの画面に黒子娘からのリプライがあった。
→『昼間も眠いで( ˘ω˘ ) スヤァ…』
疲れも眠気も吹っ飛んだ。顔文字には目元がきちんとあるところが、憎い。腹立ちすぎて頭からリプライが離れない。ニヤニヤしてますね、って同僚から指摘されたじゃないか。俺はもう首筋黒子娘を許さない!
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